4月に公表された前原国交相の高速道路新料金案の審議が遅々として進まない。
国土交通委員会の理事の間に前原案に対する異論があることだけが原因ではない。普天間基地移転や政治とカネの問題が本会議で紛糾し、委員会日程が玉突きで遅れていくためだ。何より小沢幹事長自身が、前原案の見直しを迫っている。
17日の定例会見で、その小沢氏が高速道路新料金について、こう語った。
「私は国民に約束した方針に従って、一歩でも二歩でも前進するのが、政治のあり方だと思っています」
小沢氏の「国民に約束した方針」とは、言うまでもなく「高速道路の無料化」という民主党がマニフェストで掲げた重点項目である。さらに小沢氏は言う。
「約束したことを一朝にして、100%実現できるわけではありませんけど、あくまでもその約束を実現するという努力が尊いことではないでしょうか」
自らの案を「見直しをするつもりはない」と断言する前原国交相。高速道路料金をいくらに設定するかは国会が決めることではないが、国会審議の参考に公表したとする一方で「1日でも早くご審議を頂き、その議論を踏まえて、国土交通省で決める」と、繰り返し発言している。
前原氏は、首都高速や阪神高速を除き、高速道路を原則無料化すると言い続けている。その途上にあって、すでに「実質値上げ」という批判が身内から噴出する。小沢流に言えばその実現にむけた努力が、まだまだ足りないということか。