中国のIAT(宣奇武会長)が23日、Auto China2010(北京モーターショー)の会場でEV技術に関して日本企業3社と戦略的なパートナーシップを結ぶと発表した。
中国には自動車エンジニアリング会社が50社以上あると言われ、IATはそのなかで最大級の規模と実績を持つ。まだ創立10年足らずという若い会社だが、今では700人以上の従業員を抱え、20以上の中国自動車メーカーからデザインや設計の業務を受けるほどに成長している。
そのIATが今回、EV技術のパートナーに選んだのはリチウムイオン電池メーカーのエナックス、コントローラーなど制御システムを得意とするマイウェイ、そして自動車エンジニアリング会社の東京R&DのEV事業子会社であるピューズの3社。
いずれも日本のEV技術の先端を行くベンチャー企業だ。東京R&Dは80年代からEV開発に取り組んできた。
23日のプレスコンファレンスにはIATの宣会長、エナックスの小沢和典社長、マイウェイの楊仲慶社長、ピューズの小野昌朗社長、さらに中国の国立自動車技術研究センターCATARCの趙航所長も出席した。すでにIAT、エナックス、CATARCの3社は合弁会社を設立し、上海にリチウムイオン電池の工場を建設する計画を進めている。マイウェイとピューズもそれぞれIATとジョイントベンチャーを組織するという。
自動車市場が急速に拡大する中国では、エネルギー問題や環境問題を背景に、EVへの期待は日本以上に高い。今回の北京ショーでも中国の自動車メーカーがこぞってEVを出品していた。が、50以上の自動車エンジニアリング会社があることを思えばわかるように、製品開発の多くを外注に依存しているのが現実だ。
IATとしては日本企業と手を組んでEV技術を開発し、それを自動車メーカーに提供してビジネスをさらに拡大しようというわけだ。多くのメーカーに採用されれば、それが中国でのEV技術のデファクトスタンダードになる。ベンチャー企業の連合体が巨大市場を席巻する日は、遠くないかもしれない。