富士重工業が22日に発表した新型『EyeSight(アイサイト)』(第2世代)は、ハードについては初代と大きく異なるところはないが、ソフト(ECU)の進化とセンサーの認識精度を向上させた。そのうえで価格は従来モデルの約半分の10万円前後と戦略的な設定とした。
現行『レガシィ』の上級グレードに標準装備される予定の第2世代・新型アイサイトは、先代と同様ソニー製のカメラを採用。2つのカメラの間の距離は約35cmで、視野角25度の左右カメラを組み合わせ、秒間30コマで切り取られた左右の画像の“ズレ”によって、映った物体までの距離を計測する仕組みだ。
現行『エクシーガ』に搭載されているアイサイトは、20万円前後したが、今回の第2世代は10万円前後を予定している。この戦略的価格設定についてスバル技術本部電子技術部担当部長の野沢良昭氏は「アイサイトのハード面はほぼ完成系に近い。製造コストを抑えられたぶん、ソフトの強化を図れた」と話す。
これまでスバルはトヨタなどと同様にレーダを用いた前方検知システムも投入してきたが、今回は新型アイサイト単体で先進運転支援システムの普及を狙う。
「ミリ波レーダは、前方の物体をとらえるのは得意だが、車線変更の際などの相手の位置関係はつかみづらい。レーダの特質などと比較しても、ステレオカメラで十分満足できる結果を得られた。認識の精度を追求するとセンサーを多く積むことになるが、余分なセンサー類をなるべく増やしたくない。ひとつのユニットで済ませたほうが有利じゃないかと考え、ある程度の低価格化も見込み、従来までのステレオカメラだけに絞って開発を進めてきた」(野沢氏)
「エアバッグやETCも普及までに10年前後かかった。今後のアイサイトの課題はいかに普及させていくかだ」と話す野沢氏。同社は普及に向けて他社展開も視野に入れて開発を続けて行く構えだ。
野沢氏は「アイサイト単体はそのまま他社のクルマに搭載することは可能だろう。ブレーキやエンジンの制御についての適合性などが課題となるだろうが、我々は『外販を一切しない』という方針はない。要望があれば適時検討していく」と話した。