5日にマイナーチェンジモデルが発売されたルノー『ルーテシア』(本国で『クリオ』)は、ルノーの代表的なコンパクトカーである。
ルノーのコンパクトカーの歴史は1947年に発売された『4CV』から始まる。4CVは手頃なクルマとしてフランスの300の都市で同時に発売され、大ヒットとなった。
ルノー・ジャポン、マーケティング部商品計画グループのフレデリック・ブレンさんは、4CVを「フランス人としては休みのイメージのあるクルマです。なぜなら年間有給休暇がまだ2週間しかなかった時代に、多くの人がこのクルマを買って海や山へバカンスを楽しむようになったのです。フランス人とバカンスが結び付くのはこれが原点かも」という。
そして、ブレンさんはその次に代表的なルノーモデルとして『5(サンク)』をあげる。軽量化のためにFRPのバンパーを初めて使い、さらにアメリカにも輸出(『Le Car』という名称)された。
4CVや5(サンク)のDNAを引き継いだ初代『クリオ』は90年に発売され、91年にヨーロッパ・カーオブザイヤーを受賞。2代目は2000年にユーロNCAPでクラスとして初めて4つ星を獲得。3代目は05年にユーロNCAPで初めて5つ星を獲得。06年にはこの3代目が2回目のヨーロッパ・カーオブザイヤーを受賞。2回受賞したクルマは他には例を見ず、非常に評価の高いモデルとなっている。
20年間にわたるクリオの販売台数は、世界で1000万台を突破。日本には1991年にルーテシアの名称で投入された。その当時のバリエーションには「バカラ」という、ラグジュアリー感溢れるグレードや、「ウィリアムズ」というスポーツグレードがあった。2代目ルーテシアではこのクラスでは考えられない3リットルV6・250馬力のエンジンをミッドシップに搭載した「ルーテシアV6」が登場。
そして06年発売の3代目では、1.6ATとMT、ラグジュアリーグレードの「イニシャルパリ」が導入された。また09年の10月、3代目ラインナップの追加新型として、「ルーテシアRS」を発売した。ブレンさんは予想以上の受注をルーテシアRSにはあるという。そしてマイナーチェンジモデルの導入により、この勢いに拍車をかけようというのだ。