【プリウス プラグインHV 発表】プリウス より安く

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プリウス プラグインHV
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トヨタ自動車が14日にリース販売を開始した『プリウス プラグインハイブリッド』。東京モーターショーをはじめ、以前から様々な場所でアナウンスされてきたとおり、現行の3代目プリウスのシステムを基本に、リチウムイオン電池パックと充電器を装備した仕様で登場した。

このプリウスPHVで注目されていたのは車両価格。「販売価格はリース会社が決める」というのがトヨタの公式見解だが、政府のクリーンエネルギー車に対する補助金の算定に使われる車両価格は、消費税込み525万円。ベースモデルのプリウスSグレードの2倍以上と、きわめて高額である。

「この価格は、あくまで600台という限定的な台数のもの。2年後の市販時には普通のお客様に選択肢に入れていただけるような価格にしたい」

チーフエンジニアの小木曽聡氏は、価格についてこのように説明する。第一弾の600台のリース先は、フランス北部のストラスブール市の100台をはじめ、行き先は決まっている。公的機関や法人向けということで、ことさら安くする必要性がなかったことも、プリウスPHVの価格を高止まりさせた一因だろう。

11年に発売予定の個人向けモデルについては、どのくらいの価格設定がなされるのだろうか。PHVの開発を主導してきた田中義和氏が東京モーターショー会場で「補助金込みでプリウスの最高グレードより安くしたい」、今回のPHV発表の場においてもでも「安くしたいし、安くなければ喜んで買っていただけるモデルにならないと思う」と表明するなど、低価格化には意欲的だ。

が、コストダウンの道のりは決して平坦ではない。とりわけ最大のネックであるリチウムイオン電池のコスト低減は思いのほか難しいというのが、現在の自動車業界の共通認識となっているが、それはトヨタも同様だ。また、プリウスPHVの120kgに及ぶバッテリーパックはハンドメイドで実装されている状況。オートメーション化したいところだが、それにも相応の設備投資がいる。EVほどではないにしても、価格が先か、需要が先かという問題があるのだ。

「EV走行による燃料代削減で車両価格の差額を埋めることはできない。モーター走行による気持ちよさ、環境性能の高さなどをどれだけ付加価値と見てもらえるかがカギになるかもしれない」(トヨタ関係者)

トヨタがPHVの市販開始に設定したタイムラインは2011年末。PHVはEVに比べて航続距離がはるかに長く、実用的であることから、個人ユーザーにとって最も買いやすい次世代エコカーであることは間違いない。が、普及のためには低価格化が必須だ。低価格化の実現に向け、トヨタがあと2年でどのような妙手を打ってくるかが注目される。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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