低価格化によってHIDヘッドランプは身近な存在になったとはいえ、構造上の理由から取り付けには専門的な知識や技術が必要だ。結局のところ、プロショップにまかせるのが一般的である。5年保証を打ち出した「Monobee(モノビー)」のHIDも例外ではないが、形状や付属品を工夫することで、取り付け時の作業性を大幅に向上させたという。実際にモノビーを扱っている広島のプロショップ「プレステージ」で、その評価を聞いた。
◆スリムでコンパクト設計、ステーなどの付属品にも工夫
モノビーの売りは性能と品質の高さだけではない。設計段階から取り付けの作業性を配慮しており、取り付け業者からも高い評価を得ている。
モノビーのHIDキットでは通常、(1)HIDバルブ2個、(2)バラスト(安定器)2個、(3)リレーハーネス、(4)取り付け用ステー・固定用結束バンド・ボルトなどがセットになっている。HID取り付けの際、メカニックがもっとも頭を悩ますのがバラストやイグナイターの配置だ。
モノビーでは適合車種も多く、需要の多いH4 Hi/Loタイプにおいて、従来使われていた電磁式をパルス式に変更したことでスリム化、コンパクト化を実現。さらにステーも加工が容易で、取り付けに配慮した形状・サイズとしており、“作業する側”の立場に立った製品作りをおこなっている。より小さく・薄くしたバラスト、別体化したイグナイターと合わせて、国産車・輸入車問わず、あらゆる車種への取り付けを可能としている。
◆「メカニック経験がある人が開発した、という設計になっている」
「取り付けにかかる時間は、バラストの形状や車種によって変わるが、だいたい1時間半から2時間半ほど。ここ数年でバラストが小さくなったとはいえ、クルマ側に隙間がほとんどなくなってきているから、やはり一筋縄ではいかない。バラストをどこに付けて、配線をどう取り回すか。あれこれ考えながら、場合によっては補機類を外して、取り付け場所を探す。モノビーのHIDはそういった手間がまずないので、作業が楽だね」。こう語るのは、広島県のプロショップ「プレステージ」社長の國行卓雄氏。今回、レクサスISに25Wフォグランプを装着したところ、1時間余りですべてが完了した。
作業性アップのポイントは付属品の工夫だ。「ステーの形状や穴の位置が絶妙で、どんな角度でもいける。もし加工が必要だとしても、その度合いが少ない。リレーハーネスが長いのも便利。メカニックの経験がある人が開発した、という設計になっている」(國行氏)。こうした親切設計に加え、25W仕様のフォグ専用HIDにも注目する。「今、フォグランプをHIDにしたいというニーズが増えている。モノビーは、そうした声にいちはやく応えており、フォグ専用HIDの品ぞろえが豊富だ。トレンドに敏感なお客様に提案しやすい商品ラインナップを持っている」(國行氏)。
もちろん5年保証(バラストのみ。バルブは18カ月)も大きな強みだ。そもそも商品に不具合があった場合、ユーザーの苦情は、メーカーだけでなく、ショップにも寄せられるものだ。長期保証ということはそれだけ信頼性に自信を持っているということであり、ショップとしては不良品に対するクレームのリスクを減らすことができる。万が一、5年以内に故障した場合でも新品と交換するという付加価値はユーザーとの信頼関係を構築する上で強力な武器になりそうだ。
◆ものづくりに対する熱意に共感
商品力もさることながら、國行氏が「惚れた」のは、モノビーの企業ポリシーだったという。「(モノビーの)重山会長と溝口社長とは何度もお会いしたが、話すたびにものづくりに対する熱意がひしひしと伝わってくる。限られたコストの中で、いかに品質を高めていくか。そういう企業努力が、商品に表れており、細部にわたる作り込みが感じられる」。ただ見栄えがいいのではない。たとえばバラストの差し込みカプラーは、コストを削減しやすい部分だが、モノビーはプラグ・ソケット構造になっており防水性を高めている。
現在、HID市場は、価格だけを取ってみると「高価格品と低価格品の両極に分化している」(モノビー会長の重山澤氏)。後発組は安売りで大手メーカーに対抗という構図だが、モノビーが狙うのは“安かろう悪かろう”の商品ではなく、“大手メーカーに匹敵する品質を持ちながら、コストパフォーマンスではそれらを圧倒する”商品だ。「品質ではどこにも負けない」(重山氏)というモノビーの商品は、ユーザーだけでなくプロショップの声にも真摯に耳を傾けることで完成度を高めたといえるだろう。
適合車種の多いH4 Hi/Loタイプの35W/6000Kダイヤモンドホワイトの価格は、3万5700円。大手メーカーでは6〜7万円のプライスタグが付けられる商品だ。さらにモノビーのHIDは作業性に優れているので、ショップによっては取り付け時間の短縮とそれに伴う工賃の圧縮が期待できる。工賃が下がれば、総費用で低価格品との差は縮まるだけに、これまであまり関心を示さなかったユーザー層へのアピール度は確実に高まることになるだろう。品質とコストのバランスに優れた「手が届くプレミアムHID」で、モノビーは潜在需要の掘り起こしを目指す。
■取材協力 プレステージ
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