日立ツールと日立金属は、日立製作所の協力のもと、自動車部品用DLCコーティングの密着性を高める技術と皮膜の特性を高める自動車部品用基材(母材)を開発した。DLCコーティングの用途を拡げ、自動車の環境性能向上に貢献する。
環境への対応が重要視される中、自動車の低燃費化、排気ガスクリーン化など環境性能への要求が高度化している。このため自動車部品メーカーにも燃焼効率の向上、軽量化、耐久性向上などへの対応が求められている。
中でもエンジンの動弁系や燃料噴射系摺動部品で発生するフリクション(摩擦)低減への対応は、エンジン開発での重要なテーマの一つとなっている。また、エンジンに使われる摺動部品は、高温にさらされ苛酷な条件で使用されるため、耐焼き付き性の向上も要求される。
フリクション低減と耐焼き付き性向上のため、従来から摺動部品には窒化処理などのコーティング(成膜)で対応してきた。しかし、要求される性能が高度化する中で従来のコーティングでは充分に対応できない領域がある。
フリクションをさらに低減できるDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティング技術が注目され普及しているが、DLCコーティング技術の課題としては密着性の問題があり、用途を拡げるためには改善が必要だった。
コーティング技術に多くのノウハウを持つ日立ツールと素材技術に定評のある日立金属は、日立製作所の協力のもと、様々な角度からDLCコーティングによる皮膜の密着性の改善について研究を重ねてきた。その結果、皮膜の密着性を低下させるコーティングと基材の界面に存在する不純物除去を強化することで、密着性を約50%以上向上させることに成功、信頼性を高めたDLCコーティング「L-Frex」を開発した。
また、皮膜の特性を高める自動車部品用基材(母材)「ASL555」を開発した。DLCコーティングの用途を拡げ、自動車の環境性能向上に貢献する。
今年10月から日立ツールが自動車部品用DLCコーティングのL-Frexについてサービスを開始し、日立金属が皮膜の特性を高める自動車部品用基材のASL555の販売を開始する。