熱気球ホンダグランプリ…興味があるならぜひ乗って

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2009熱気球ホンダグランプリ。第1戦となる渡良瀬バルーンレースへのエントリーは29チーム。

昨年のランキング首位「寿Evolution1」号の水上孝雄選手、親子2代のフライヤーで「若いながら天才肌」(大会関係者)という昨年3位の藤田雄大選手など上位チームや、普段はエアバスのパイロットを務めながら「熱気球が気に入っているんだ」というリチャード・パリー選手のような愛好家、昨年秋に初参加を果たした「ANAシャインドリーム」号のようなニューカマーなど、今年も多彩な顔ぶれだ。

トップクラスのパイロットから熱気球競技が好きで飛んでいるという選手まで、基本的に社会人として仕事をやりながら参加している、文字通り“愛好家”である。冠スポンサーであるホンダの研究開発会社、本田技術研究所の社員である河口正義選手もその一人。

普段はクルマの研究開発をこなし、レースのときにはHonda Hot Air Balloon Racing Teamのパイロットの一人として、昨年新造した「ホンダシロクマ」号を駆る。仕事とは無縁の、完全に趣味の世界である。レース初日は有給休暇を取ってやってきたという。

「気球にハマったのは、大学時代でした。気球部のウリは夏に北海道で合宿をするというものだったのですが、体験ということで北海道で気球に乗せてもらったときは感動しましてね。乗ったその日に操縦資格を得るための申込書を書いてました」

気球競技の魅力は、どういうところにあるのだろうか。

「飛ぶこと自体はもちろん楽しいですが、気球は一人では飛ばせない。パイロットから地上クルーまで、みんなが一体となって頑張る競技なんです。例えば風向きが微妙なとき、地上組がクルマで先回りして、こっちに良い風があるので、北西より入ってくださいなどと、有効な支持をもらうことでより正確に飛べたりとか。仕事以外で、仲間と目標を持ってチャレンジできることって、意外に貴重なんですよ。また、気球をやっていると、海外の気球友達がたくさんできるのも嬉しい。よく現地に行った時に、友人宅のホームパーティなどで親交を深めたり」

熱気球レースに参加し続けるためには、チーム全員が心を合わせるだけでなく、職場の仲間や家族の理解も重要だという。

「週末にはこの渡良瀬近辺で練習飛行をしているのですが、休日に仕事が入ってしまうと飛べません。普段頑張って、休みの日にはなるべく練習飛行ができるよう、入社してから事あるごとに“私の趣味は熱気球を飛ばすことで”と言いまくってました。また、休日を全部気球で潰してしまうと家族の不興を買いますので、日曜は午前中で上がり、午後は家族と一緒に過ごすとか」

気球競技にすっかり魅せられている河口選手。空に興味がある人は、熱気球にぜひ乗ってもらいたいという。

「興味がある人は本当に乗ってみるといいと思います。きっと好きになると思う。若い頃は競技にどんどん出られるし、レースから引退しても、飛ぶことはいつまでもできる。アドベンチャー飛行も楽しいですよ。私は最高高度3000mで前橋から渡良瀬まで飛んだことがありますが、そのときは対地速度100km/hに達しました。富山から飛騨山脈を越えて関東平野まで飛ぶ人もいたりします。まずは熱気球チームのインターネットサイトにアクセスして情報を得るところから始めるといいと思います」

河口選手の目標は、世界選手権でトップパイロットと勝負できるようになることだという。これからも当面、熱気球への熱が冷めることはなさそうだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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