日本からデトロイトモーターショーに来ているメディアの間でもはや常識となっている噂話がある。それは、「本当なら次期ホンダ『NSX』のプロトタイプが2009年のデトロイトショーでお披露目される予定だった」というものだ。
ご存知の通り、ホンダは次期NSXの開発を進めていた。それは、V10エンジンをフロントに積む高級スポーツカーで、駆動方式はFRベースの「SH-AWD」。予定価格は日本円にして2000万円近いといわれていた。そして、アキュラブランドのフラッグシップモデルとして北米の富裕層をメインターゲットとして販売する予定だったのだ。ニュルでのテストが目撃されるなど、開発もかなり進行していたと言われている。
しかし、アメリカの経済崩壊により、ホンダの福井社長の口から「開発を凍結」とのコメントが出たのは記憶に新しいところである。
そんな次期NSXの市販車に近いプロトタイプの発表の場が、本来なら最大マーケットの北米でおこなわれるデトロイトモーターショーだったと言われているのだ。
この話は、公式情報として流れているものではない。もしかしたら、単なる噂に過ぎないのかもしれない。しかし、仮に誤報だったとしても自動車業界を取り巻く現在の環境をよく表しているエピソードといえるだろう。
ただし、会場内がすべてそういったムードかといえば決してそんな事はなく、ドイツ勢のアウディやフォルクスワーゲン、BMW、メルセデスベンツはそれぞれ新しいスポーツカーを出展(V10エンジン搭載の『R8』、2シーターミッドシップの『ブルースポーツ』、新型『Z4』、『SLR』の最終進化版「スターリングモス」)。アメリカ勢も、540psのエンジンを積んだ『マスタング』の高性能仕様「シェルビーGT500」を発表するなど、地味なようでいて実はイケイケだ。もしかして、開き直りなのだろうか?