つぶれた泡できれいにする…世界初のトンネル清掃技術

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NEXCO西日本(西日本高速道路)は28日、洗浄水のキャビテーションが発生する衝撃波を活用した、キャビテーション清掃車(高速清掃装置)を導入すると発表した。同種の清掃車は世界で初めての導入だという。

洗浄水の圧力を低下させると、水に溶けていた各種成分が微小な気泡となる(キャビテーション)。気泡が再び液体に戻る時に大きな圧力を発生するので、これで汚れを落とす。この力はタービンやスクリューなどを傷つける(エロージョン)こともあるが、すでに機械の洗浄などで利用されている技術で、身近な例ではメガネの超音波洗浄機がそうだ。

このキャビテーション清掃車は、トンネル照明灯具清掃など高速道路上での清掃作業の省力化と、渋滞や事故の要因となる車線規制の廃止を目的として、 NEXCO西日本、NEXCO中日本、NEXCO東日本および高速道路総合技術研究所などで、4年間にわたり共同開発してきたもの。

従来、トンネル照明灯具は、洗浄水とブラシを用いて清掃していた。今後は、キャビテーションを活用した洗浄水の噴射のみで、短時間で従来と同等以上の清掃効果を得られるという。

キャビテーション清掃車は、GPS連動の自動制御機能により、洗浄ノズルの照準を照明灯具位置に定めることができる。また、50km/hの移動速度を確保した清掃作業が可能となるため、車線規制が必要なくなる。

作業時間の削減については、NEXCO西日本が管理するトンネル上下別で 815か所、延べ710kmを対象とする試算値で、清掃時間が従来の年間約1100時間に対して約50時間となり、年間約6000万円のコスト削減となるという。

さらに、少量の水の使用で清掃が可能であり、洗剤も使用しないことから、地球環境にやさしい清掃作業が実現する。

このキャビテーション清掃車は、新たな分野への展開や他道路においても活用可能と考えることから、NEXCO西日本では引き続き開発技術の適用拡大、応用研究を進めていくという。

《高木啓》

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