【神尾寿のアンプラグド特別編】ポスト3G時代に向けて動き出す。ワイヤレスジャパン2008…後編

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7月22日、東京ビッグサイトで通信・ワイヤレス・モバイル機器の総合展示会「ワイヤレスジャパン 2008」が開幕した。後編ではMediaFLOとISDB-Tmmとの対決の構図がみえてきたモバイル向けマルチキャストをレポートする。

◆モバイル向けマルチメディア放送でもつばぜり合い

“新時代のインフラ”をめざし、展示に力が入るのは、ポスト3Gを狙う通信方式ばかりではない。モバイル端末向けのマルチメディア放送をめぐっても、関係各社が積極的な展示を行っていた。

その中でも、特に注目なのが、クアルコムのブースだ。同社は北米で携帯電話などモバイル端末向けマルチメディア放送の「MediaFLO」を展開。グローバルの次世代マルチメディア放送規格に育てようとしているが、特に日本市場での商用化に積極的な姿勢を見せている。

今回のワイヤレスジャパンにおいても、MediaFLO関連の展示は広いスペースが用意されている。なかでも目玉は、MediaFLOとワンセグの両方に対応したチップセットの実演で、実際に試作機で2つの放送サービスを受信できる様子が見られるようになっている。他にも、MediaFLOの特長である蓄積型放送(クリップキャスト)やIPデータキャストのデモンストレーションも行われており、次世代のモバイル向けマルチメディア放送の実力が実際に見られる環境が用意されている。

MediaFLOはKDDIとソフトバンクモバイルが推進する方針を打ち出しており、技術や設備的には「周波数と事業免許さえいただければ、すぐにでもサービス開始できるだけのものに仕上がっている」(クアルコム関係者)という。何より全米で放送ネットワークが完成しており、同国のモバイルマルチメディア放送のデファクトスタンダードになっているのが強み。欧州への展開計画も進んでおり、とかく閉鎖的になりがちな放送の世界において、携帯電話や車載端末などモバイル向けで“グローバルスタンダード”を目指しているのが注目すべきところだろう。

一方、日本市場でMediaFLOと並び立つのが、既存のワンセグ技術を拡張した「ISDB-Tmm」だ。こちらは日本の国策技術ともいうべき地上デジタル放送の派生という位置づけで、NHKや民放各社が強く後押ししている。通信キャリアとしてはNTTドコモが推進グループに傘下しており、ワイヤレスジャパンでもドコモブースで展示が行われていた。

MediaFLOとISDB-Tmmのふたつを会場で見比べてみると、技術的な完成度の高さやサービスやビジネスモデルの多様性といった点では、MediaFLO側が有利だと感じる。また、当初からモバイルマルチメディア放送のグローバルスタンダードを目指し、通信サービス的な柔軟性を担保していることも、MediaFLOの評価できるポイントだろう。しかし、その一方で、ISDB-Tmm陣営には“日本の放送業界”がついており、豊富な映像コンテンツを強固な盾にしている。

近い将来、映像コンテンツ流通で重要な役割を果たすモバイルマルチメデイア放送において、グローバルなMediaFLOが主流になるのか、それともISDB-Tmmがパラダイス鎖国の砦になるのか。その行方も含めて注目だろう。

◆クルマにとっても重要性を増すモバイルインフラ

自動車業界の立場に立てば、これまで「インフラ」といえば、それは道路や駐車設備を意味していた。しかし、クルマと情報サービスとの連携は今後さらに重要になり、コンテンツやサービスにアクセス(接続)するための通信・放送インフラは、クルマにとって欠くことのできない“第2のインフラ”になる。

おそらく、そのターニングポイントは、モバイルの通信・放送インフラが爆発的な容量拡大を迎える「ポスト3G」や「モバイルマルチメディア放送」の時代だ。その未来をひとあし早く見られるワイヤレスジャパンは、自動車業界のビジネスパーソンにとっても足を運んで損はないものだろう。

《神尾寿》

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