イタリアでも日本と同じ11日、『iPhone 3G』が発売になった。ボーダフォンと、旧イタリア電話公社系であるTIMの扱いだ。本体価格は8GBが499ユーロ、16GBが569ユーロ。ユーロ高の折、円換算すると8万4000 - 9万6000円になる。
ほかにTIM社は「本体199ユーロ+月30ユーロでインターネット月1GB」から「機器無料+月200ユーロでインターネット接続無制限」まで、7種のプランを用意している(いずれも8Gモデル、2年契約)。同社はすでに自社サイトを通じ、1万件を受注した。
主要テレビ局は朝8時のニュースで、ミラノやローマの大型店で11日午前0時発売を待って前日から行列ができたことを報じた。ちなみにイタリアでは、ひと足早くiPhone“解禁”となった日本の様子も多くのメディアで伝えられた。ソフトバンクの孫正義社長が半分で切られている画像が多かったのは、不幸にも「ただのおじさん」に見られたか?
ただしイタリアのiPhoneフィーバーは、一部大都市に限られている。筆者が在住するシエナは、れっきとした県庁所在地である。にもかかわらず、携帯販売店に朝10時訪ねたところ、店内にいた客は1組のみ。それも普通の携帯を見に来た客だった。ようやくあとから、若い男性がiPhoneについて聞きにきた。実機はおろかダミーのサンプル機もない。パンフレットもなく、唯一もらえたのは料金プランのコピーだけだった。
唯一評価すべきは、店員の商品知識が豊富で、ゆっくりと話が聞けたことだ。商品さえ届けば近日納品可能という。地方都市の販売店は、それなりの穴場とみた。
一般のイタリア人の反応も意外に冷静だ。家事手伝いのミケーラさんは「彼氏がインターネットで情報収集しているのは知っていたわ。ただし、私自身には値段が高すぎて」と言う。たしかに前述の価格は、イタリアでアパートの家賃に相当する。
また、インターネットショップを経営するジャンニさんは、「今使っているパーム型携帯で充分」と答えた。「音楽ダウンロードひとつとっても、パソコンにアップルのソフトを導入するなど環境を整えなければいけないのが面倒くさい」。
加えて、携帯を買うのに徹夜で待つのは御免だという。「必要なら後日ゆっくり買えばいい」。なお、彼によれば「チネマ(映画)とか、病院の診察順番待ちとか、気合を入れて並ばなければならないものが世の中にはいっぱいある」のだそうだ。図らずも、イタリア人らしい見解で締め括ってもらった。