昨年7月、福岡県大牟田市内でタクシーが雨でスリップして電柱に激突、3人が死亡した事故について、福岡区検は3月31日、タクシー会社と、この会社の社長など2人を道路交通法違反や道路運送車両法違反容疑で略式起訴した。タクシーの後部タイヤ2本は極端に磨耗した状態だった。
問題の事故は2007年7月4日朝に発生している。大牟田市上官町3丁目付近の県道を走行していた61歳男性が運転するタクシーがスリップしながら路外に逸脱し、道路左側の電柱に車体右側面から衝突。クルマは原型を留めないほどに大破し、運転していた男性が脳挫傷などで死亡、客として乗り合わせていた17歳と16歳の女性が脳挫傷や脊椎損傷で死亡した。
このタクシーの後部タイヤ2本は極端に磨耗した状態で、一部はほとんど溝が無い状態だった。道路運送車両法で規定されたタイヤを使用していれば事故は未全に防げていた可能性が高いことも後の調べで判明したため、福岡区検は「経費削減のためにタイヤ交換時期を先伸ばしにしたもので、故意でないにしても整備不良は会社の責任が大きい」と判断。法人としてのタクシー会社と、同社の社長と営業部長を道交法違反(整備不良)と道路運送車両法違反の罪で3月31日までに略式起訴。
これを受け、福岡簡裁は同日、2人にそれぞれ10万円、法人としてのタクシー会社に5万円の罰金支払いを命じている。