2007年5月、埼玉県春日部市内で乗用車を泥酔状態で運転し、対向車と衝突する事故を起こして3人を死傷させたとして、危険運転致死傷罪に問われている21歳の男に対する判決公判が15日、さいたま地裁で開かれた。裁判所は懲役8年の実刑を命じている。
問題の事故は2007年5月6日未明に発生した。春日部市内牧付近の県道を走行していた乗用車が対向車線側に逸脱、対向車線を順走していた軽トラックと軽乗用車に相次いで衝突した。軽トラックは大破し、運転していた中国籍を持つ47歳の男性が全身強打で死亡、助手席に同乗していた44歳の男性と、後続の軽乗用車を運転していた22歳の女性が打撲などの軽傷を負った。
逸脱したクルマを運転していた21歳の男は直立していられないほどの泥酔状態で、事故後のアルコール検知では呼気1リットルあたり0.85ミリグラムのアルコール分も検出。後の調べで事故の約6時間前から大量の飲酒を行っていたことも判明。危険運転致死傷罪で起訴されていた。
弁護側は「事故当時は正常な運転ができないほどの状態ではなく、高い濃度を示したアルコール検知結果にも疑問が残る」と主張していたが、15日に行われた判決公判で、さいたま地裁の飯田喜信裁判長は「被告は居酒屋で多量の飲酒を行っており、事故直後も直立や直線歩行ができなかった」と指摘。弁護側の主張を退けた。
その上で裁判長は「事故当時の被告にアルコールの影響があったことは明らかであり、事故の結果も重大である」として、懲役8年の実刑判決を言い渡している。