【神尾寿のアンプラグド特別編】広がる「銀聯」…iD/Edyとともに長崎で導入

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品
【神尾寿のアンプラグド特別編】広がる「銀聯」…iD/Edyとともに長崎で導入
  • 【神尾寿のアンプラグド特別編】広がる「銀聯」…iD/Edyとともに長崎で導入
  • 【神尾寿のアンプラグド特別編】広がる「銀聯」…iD/Edyとともに長崎で導入
  • 【神尾寿のアンプラグド特別編】広がる「銀聯」…iD/Edyとともに長崎で導入
  • 【神尾寿のアンプラグド特別編】広がる「銀聯」…iD/Edyとともに長崎で導入
  • 【神尾寿のアンプラグド特別編】広がる「銀聯」…iD/Edyとともに長崎で導入
  • 【神尾寿のアンプラグド特別編】広がる「銀聯」…iD/Edyとともに長崎で導入
  • 【神尾寿のアンプラグド特別編】広がる「銀聯」…iD/Edyとともに長崎で導入
  • 【神尾寿のアンプラグド特別編】広がる「銀聯」…iD/Edyとともに長崎で導入

長崎の商店街で「銀聯」大規模導入

中国によく行く人なら、「銀聯(ぎんれん)」という決済方式を知っている人も多いだろう。これは中国で広く普及している銀行間決済ネットワークの名称で、そこに加盟する銀行やクレジットカード会社が発行するカードの総称にもなっている。

現在、中国における銀聯カードの発行枚数は13億枚(デビットカード/クレジットカード含む)。中国国内の加盟店は約67万店舗で、中国におけるVISA / MASTERの加盟店(約20万店)より多いといえば、どれだけ中国で普及しているかわかるだろう。

この銀聯が今、世界各地に進出している。アジア各国のほか、アメリカにも加盟店ネットワークを構築し始めており、日本でもすでに大手百貨店や家電量販店が銀聯に加盟しているケースが多い。さらに海外での銀聯カード発行も始まっており、日本では三井住友カードが昨年12月18日から「三井住友銀聯カード」を発行開始した。

そのような中で、日本の地方都市でも銀聯導入の気運が高まっている。その象徴的な例といえるのが、長崎県長崎市の浜んまち商店街における導入だ。

浜んまち商店街では2月1日、「銀聯」および、日本で急速に普及するFeliCa決済「iD」「Edy」の3方式に対応した新決済方式を導入。商店街で設置した決済端末は約300台であり、銀聯・iD・Edyへの対応としては国内初・最大規模になった。

地方の商店街が新たな決済方式を導入するのは最近のトレンドであり、特にFeliCa決済の導入事例は多い。例えば、愛媛県松山市の道後温泉街や名古屋大須商店街、宮城県仙台市の中心6商店街、静岡県静岡市中央商店街などがiDやEdyを導入している。これらと、今回の浜んまち商店街との違いは、「iD / Edyの共用型端末を用いたこと」と、同じ決済端末で「銀聯にも対応したこと」である。

iD・Edy・銀聯の導入に合わせて行われたセレモニーでは、長崎浜んまち商店街振興組合連合会の理事長 石丸忠重氏が「中国人観光客が増加する中で銀聯への対応は重要」と強調。長崎は航空機および船舶で中国との直行便が就航しており、地理的に上海とも近い。中国人観光客は年々増えており、その購買力・経済効果は商店街にとって重要になってきているという。

さらに現実的な問題もある。中国では政府が人民元や外貨に海外持ち出し制限をかけているため、中国人が海外旅行で高額な買い物をするのは不便な環境にあるのだ。しかし、海外旅行先の店舗が銀聯に対応していれば、デビッドカード支払いが利用でき、貴重な持ち出し現金を使わずに買い物ができる。

「中国からのお客様は、商店街の百貨店で化粧品やブランド品をまとめ買いされていきます。その購買力はすさまじいものがある。銀聯対応で、人民元の持ち出し制限の壁を取り払える効果は大きいと考えています」(長崎浜んまち商店街振興組合連合会)

◆FeliCa決済対応で利便性向上。おサイフケータイ利用も促進

一方、日本人観光客や地元住民向けのサービス向上として導入されるのが、FeliCa決済の「iD」と「Edy」だ。これらはカードやケータイを“かざす”だけで支払いができる電子マネーとして、現在、急速に利用が拡大している。

今回の浜んまち商店街の事例は、一斉導入規模としては全国的に見てもかなり大きい。そのため加盟店開拓(アクワイアラ)を担当する三井住友カードとビットワレットの期待も高い。iDを推進する三井住友カードからは常務執行役員の太田修司氏、Edyを推進するビットワレットからは代表取締役専務 兼 マーケティング本部長の奥出勉氏がセレモニーに参加し、大規模導入となる浜んまち商店街を足がかりに、長崎および九州全域への展開に期待感を表した。

「全国的に見ますと、Edyは沖縄で大成功を収めていまして、沖縄は『Edyアイランド』といわれるほど、普及率と利用率が高くなっています。その次のステップとして、九州の利用率を高くしたい。現状では、コンビニのファミリーマートやローソンで九州全県への展開ができています。しかし、FeliCa決済の普及・利用促進で重要な『密度』で考えますと、浜んまち商店街のような(消費活動の)中心エリアで大規模導入されるメリットは大きい」(ビットワレット奥出氏)。

今回の浜んまち商店街の導入では、ドコモ九州も全面的に支援をしている。ドコモでは、iDを使ったケータイクレジット「DCMX」を推進しており、Edyも、おサイフケータイで利用できる。さらに長崎でみると、バス会社共通のIC乗車券「モバイル長崎スマートカード」がおサイフケータイに対応している。

「おサイフケータイの利用促進で見れば、iDとEdyどちらも加盟店が増えることは歓迎すべき状況です。長崎ではすでにモバイル長崎スマートカードでバスでおサイフケータイが利用できましたが、今後はショッピングでも利用可能な場所が増えます。長崎でのおサイフケータイ利用促進を、さらに積極的に行っていきたいと考えています」(ドコモ九州長崎支店長の末茂雄氏)。

◆FeliCa決済+銀聯が大きく動き出す

EdyやiD、Suicaなど、“かざすだけ”で使えるFeliCa決済は、「電子マネー」と通称されて昨年の流行語やヒット商品になった。この傾向は今後も続くだろう。これに加えて、もうひとつのキーワードになりそうなのが「銀聯」である。銀聯は今年、VISA・MASTER・JCB・アメックス・ダイナースに続いて、6番目の国際ブランド(※)に昇格する見込みであり、世界的に見ても重要度が増す。

長崎での例を見ればわかるとおり、FeliCa決済と銀聯対応を1台にまとめた決済端末は存在しており、これが「新決済方式」として今後ひろがる可能性は高いだろう。

自動車ビジネスの世界では、今や「アメリカ」と「中国」の重要性が拮抗する段階になっているが、決済の世界でも中国の勢いは無視できなくなっているのだ。日本でビジネスが拡大するFeliCa決済とともに、銀聯はチェックしておいて損はない分野である。

※国際ブランドとは?

グローバルに展開する決済方式のこと。世界各国に加盟店と発行機関があり、サービスを提供しているものが「国際ブランド」として認められる。現在はVISA・MASTER・JCB・アメックス・ダイナースの5つが国際ブランドになっている。

《神尾寿》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集