鹿児島県いちき串木野市内の市道を走行中、電動車いすと接触した軽乗用車が道路横を流れる川に沈んでいるのが6日午前に発見された。運転していた29歳の女性は車内に取り残されており、間もなく死亡が確認された。
鹿児島県警・いちき串木野署によると、事故が起きたのは5日の午後5時ごろ。いちき串木野市川上付近の市道を走行していた電動車いすと、対向してきた軽乗用車が接触した。電動車いすは転倒。乗っていた57歳の男性が路上に投げ出され、打撲などの軽傷を負った。
通報を受けて現場に急行した同署員は被害を受けた男性から「クルマは逃げた」と聞かされたことから、警察では軽傷ひき逃げ事件として捜査を開始した。
この数時間後、同市内に住む29歳女性の家族から「クルマで職場に向かったとみられるが、行方がわからない」との届け出があった。通勤ルートに軽傷ひき逃げ事件の現場が含まれることから、この女性のクルマが事故に関与した可能性があるとして、翌朝から現場付近の再捜査を開始した。
この結果、衝突した地点の近くに女性が所有するクルマのみられる部品と、路面のスリップ痕を発見。クルマが道路横を流れる川に転落した可能性が高いとして捜索を実施したところ、約50m下流の水底に沈んでいるクルマを発見。車内に取り残されたままの女性を救助したが、間もなく死亡が確認された。
クルマには電動車いすと接触した際に生じたとみられる痕跡もあり、警察ではこのクルマが事故を起こしたものと断定。衝突を避けようとして急ハンドルを切った際、土手から滑り落ちて川に転落したと推測している。
事故直後に現場をきちんと捜査していれば、川へと続くスリップ痕が早期に発見できた可能性も高く、「逃走した」という被害者証言を鵜呑みにして周辺の捜索を怠ったことについては批判も出そうだ。