精密小型モーター、需要拡大の見通し…富士経済

自動車 ビジネス 企業動向

富士経済は、自動車を始め、民生機器から業務・産業機器まで幅広い用途に使用される精密小型モータ市場の調査を実施し、その結果を報告書「精密小型モータ市場実態総調査2008」にまとめた。

精密小型モータは、自動車を始め、民生機器から業務・産業機器まで幅広い用途で採用されている。需要地は中国、アジア地域の位置付けが年々高まっており、生産面では、インドやベトナム、タイなど新興地域へも拡がっている。

調査結果によると、精密小型モータ市場は、自動車や音響・映像機器向け需要が旺盛なガバナレスモータをはじめ、軸流ファンモータ、ステッピングモータ、ブラシレスモータなどの成長により今後も拡大していくと予測する。

品目別に見ると、自動車や音響・映像機器向けをメインとするガバナレスモータの比率が圧倒的に高く、2007年は60%を占めた。次いで、パソコンなどの冷却ファンに使用される軸流ファンモータで9%弱。DVD-ROM/RAMなどの光学ドライブ関連の実績が大きく、自動車向けにも増加しているブラシレスモータ、ステッピングモータが続いている。

メーカー別に見ると、日系メーカーの生産比率が高いが、アジアを中心とした海外のメーカーも徐々に力をつけ、生産および需要規模の大きな中国を中心とした競争は年々激化している。ただ、モータ設計・生産に関する技術・ノウハウの流出や、人員の流動の激しさによる現地人員への教育訓練効率の低さ、人件費の高騰による事業採算性の低下などから、日系・海外メーカーともに東南アジアやインドなどへ生産をシフトするチャイナプラスワンの動きも進んでいる。

全量生産分を中国から引き上げることはないとみられるが、日系メーカー、海外メーカーの多くは、今後生産量を徐々にアジアへシフトする予定で、ターゲットエリアの見極めや、アジアでのエリア別営業戦略など、海外事業戦略の重要性は更に高まると予測している。

小型モータ市場ではアジアメーカーが急速に力をつけてきており、付加価値の高いステッピングモータやブラシレスモータの領域まで製品性能面を向上させ低価格攻勢を強めている。また、価格面だけではなく性能面でも海外メーカーに対するユーザーの評価が飛躍的に高まっていることから、海外メーカーの位置付けはさらに高まると見られる。

ガバナレスモータではジョンソン・エレクトロニック・スタンダード・モータなどの香港メーカーやボッシュなどの欧州メーカーが自動車向けを中心に勢力を強めている。また、日系メーカーでは日本電産が欧州向けの販売チャネルや開発力を得るため、フランスのヴァレオ社から小型モータ事業部門を買収するなど、日系メーカーによる海外メーカーの買収や提携が活発化している。

《レスポンス編集部》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集