議員立法で、ガソリン税の暫定税率を5月末日まで延長する「つなぎ法案」は、衆院財政金融、総務両委員会で30日午前、自民、公明両党の賛成多数で可決した。
ところが、衆院の河野洋平、参院の江田五月両議長のあっせんを、与野党幹事長が受け入れたことによって、一旦、可決されたつなぎ法案だったが31日にも、取り下げられることになった。
委員会で可決された法案は、同日の衆議院本会議で採決、参議院に送られる予定だった。仮に暫定税率が3月末に期限切れを迎えても、つなぎ法案というセイフティネットで、暫定税率がそのまま維持できるようにするためだ。両院議長あっせん文の中で、つなぎ法案が、「いわゆるセイフティネット(ブリッジ)法案」と呼ばれているのも、こうした意味合いだった。
このあっせんが受け入れられたポイントは、あっせん文の[1]の「年度内に一定の結論を得る」という点だ。与党側は「これで参議院で年度内に採決される。例え否決されても、衆議院での再可決が可能になったので、ガソリン価格が下がることによる混乱はない」と安堵している。
民主党は租税特別措置法の期限切れによるガソリンの値下げを突破口に、抜本的な税制改正を与党に迫る目論見だったが、これを断念した。与党が法案の修正協議に応じる意向を示したため、あっせんに応じることとなったのだ。あっせん文の[2]に書かれた「税法について各党間で合意が得られたものについては、立法府において修正する」が、これに当たる。
これでひぎれ法案を巡る与野党全面対決による国会紛糾はひとまず回避された。ガソリン税を含めた税制の本質的な論議の再開が期待される。