【伊東大厚のトラフィック計量学】ETC今昔物語 その3…ETCで高速道路はどう変わる?

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【伊東大厚のトラフィック計量学】ETC今昔物語 その3…ETCで高速道路はどう変わる?
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前回、ETCの活用は高速道路を利用しやすくするとともに、CO2を削減し交通事故死者を減らすという“一石三鳥”の施策であることを紹介した。ETCの活用で実際に高速道路はどのように変わり、また使いやすくなるのだろうか。

◆首都高速と阪神高速が距離料金制に

現在、都市高速は利用距離に関わらず同じ料金、均一料金制をとっている。ETCが普及したため、首都高速と阪神高速では来年度から利用距離に応じた料金、距離料金制に移行する計画だ。

距離料金制になると、利用距離に関わらず同じであった料金の不公平感は是正される。例えば首都高速では利用1回につき固定額210円+1kmあたり31円という案が検討されている。この案では、利用距離が短い場合は現在の半額程度だが、長いと2000円を超えるケースも出るようで、料金に上限値を設けるなど“妥当な線”を検討中だ。

◆環状道路で迂回のときは?

首都圏などで環状道路が開通しつつあるが、現在の料金では、迂回となる環状道路を利用するより都心を突っ切るほうが割安になってしまうケースもある。

例えば東京の八王子から埼玉の所沢までの場合、首都高速経由と圏央道経由の2つのルートがあるが、今の料金では首都高速のほうが圏央道(環状道路)経由より400円安くなってしまう(図1)。都心の混雑を緩和するために環状道路を作ったのだから、混雑を避け迂回する人は料金を割安にしなければならない。

また複雑な料金もスッキリさせたいところだ。図1でわかるように、首都高速、中央道、東京外環は均一料金制でもそれぞれ料金が違う。距離料金制の場合も中央道(八王子以西)は1kmあたり24.6円、圏央道は40円、関越道は29.5円だ。

◆高速料金は下がるのか?

高速料金は、道路四公団民営化の際決まった「2050年までに高速道路の借金を返す」を基準に決められている。料金を下げると高速道路の利用者は増える。例えば半額にしても利用量が倍になれば収入は変わらないのだから一度思い切って下げてみれば……、と思われるだろうが、そこまでは増えないようだ。日本の高速道路には借金の返済期限という制約があるため、使いやすい料金との間にギャップが発生してしまう。

現在、国土交通省では高速料金の引下げやスマートICの設置など高速道路の活用施策を検討中だ。借金の返済期限に影響しない形で料金を下げるには一部公的負担(つまり税)も、という案も出ている。今後の動向に注目したい。

《伊東大厚》

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