2006年9月、三重県伊勢市内の県道で制限速度を超える状態でタクシーを運転、堤防から転落する事故を起こして乗客を死亡させたとして、危険運転致死などの罪に問われた49歳の男に対する判決公判が27日、津地裁で開かれた。裁判所は懲役4年の実刑を命じている。
問題の事故は2006年9月30日未明に発生した。伊勢市中須町付近の堤防上を通る県道を走行していたタクシーが路外に逸脱。約10m下にある民家敷地内の駐車場に転落した。クルマは大破し、後部座席にシートベルト未着用の状態で乗っていた28歳の乗客男性が車外に投げ出されて死亡、タクシーを運転していた男も全身を強打する重傷を負った。
現場は緩やかな右カーブ。その後の調べでタクシーは制限速度の50km/hに対し、これを大幅に超過する88km/hで走行していたことが判明。警察では男の回復を待ち、「制御困難な速度で走行したことが事故の原因になった」として危険運転致死や道路交通法違反容疑で逮捕。検察もこれを受けて同罪で起訴していた。
27日に開かれた判決公判で、津地裁の山本哲一裁判長は逸脱時の速度は88km/hだったと認定した上で「被告はプロの運転手として、乗客の安全を第一に考えなければならない立場にありながら、制限速度を大幅に上回るスピードを出して事故を起こした」と指摘。「その犯行態様は危険かつ無謀」として、被告に対して懲役4年の実刑を命じた。