イタリア国家調査委員会の大気汚染研究所は5月31日、ローマの大気中にコカインが含まれていることを確認したと発表した。発表によると、コカインのほかに、マリファナやハッシシに含まれる成分も検出されたという。
エリア別でコカインの濃度が最も高いのは市中心部で、とくに大学周辺で高い数値を示した。
コカインの濃度が最も高くなるのは冬で、1立方メートルあたり0.1ナノグラム(10億分の1グラム)が含まれているという。 冬期は気候の関係で、大気中で汚れた空気がより低い層に溜まりやすいためとみている。
また、ローマより少ない値であったものの、南部ターラントでもコカインが観測された。
研究グループのリーダーであるアンジェロ・チェチナート氏は、「現在のところ、まだサンプルが少なく、ただちに大学がコカインの温床であるとは断言できない」としている。
また、含有量はただちに人体の健康に影響を及ぼすものではないとみる識者もいる。
しかし今回の研究とは別に、北部トリノでは、中心部を流れるポー河の水にコカイン成分が含まれていることも明らかになっている。捨て場を失った購入者が投げ捨てるものとみられている。
この国にとって麻薬の蔓延は、各地で大きな問題となっている。大気中にコカインが含まれていることが判明したのは、世界でも初めてのことだ。「イタリアの空気に酔いしれる」といったキャッチフレーズが、洒落でなくなりつつある。