昨年10月、岩手県一関市内の市道で、酒気帯び運転中に路外へ逸脱する事故を起こし、歩行者の男性をひき逃げして死亡させたとして、危険運転致死などの罪に問われた25歳の男に対する判決公判が6日、盛岡地裁で開かれた。裁判所は懲役6年の実刑を命じている。
問題の事故は2006年10月15日の午後5時20分ごろ発生した。一関市赤荻付近の市道で、走行中の乗用車が左カーブを曲がりきることができずに路外へ逸脱。路肩に立っていた71歳の男性をはねた。男性は全身強打と出血性ショックが原因で死亡。クルマは一時逃走したが、後にブラジル国籍を持つ25歳の男が業務上過失致死と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕された。
事故当時、男は酒気帯びの状態。クルマは幅員約5mの道路を70-80km/h程度の速度で走っていたとみられる。検察では「男は酒気帯びの状態でクルマを運転し、制御困難な速度でカーブに進入した」と断定。起訴の際に罪状を危険運転致死に変更した。公判では弁護側が「進入速度は最大でも70km/hであり、決して制御困難な速度ではなかった」と主張。衝突時の速度と、制御困難か否かが争点となっていた。
6日に行われた判決公判で、盛岡地裁の杉山慎治裁判長は「衝突時の速度は少なくとも70km/hは出ていた」と断定。「カーブ進行や制御が困難な高速度だった」として危険運転罪が成立することを認め、被告側の主張を退けた。その上で被告が一時逃走していたことなども考慮。被告に対して懲役6年の実刑判決を言い渡した。