夜間の発見は難しい…死亡ひき逃げで一部無罪の判決

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2005年10月、大分県大分市で単独事故を起こして転倒したバイクの運転者をひき逃げし、死亡させたとして、業務上過失致死や道路交通法違反の罪に問われた21歳の女に対する判決公判が11月29日、大分地裁で開かれた。裁判所はひき逃げのみを執行猶予付きの有罪とし、業務上過失致死については無罪と判断している。

問題の事故は2005年10月19日深夜に発生している。大分市萩原付近の県道で20歳の男性がバイクを運転中に単独転倒。直後に進行してきたとみられる後続車にはねられて死亡した。クルマはそのまま現場から逃走していたが、後に20歳(当時)の女が容疑に関与したものと判断。「怖くなって逃げた」と容疑も認めたため、業務上過失致死や道交法違反容疑で逮捕された。

調べに対して女は「オーディオ機器の操作をしていて、男性が路上に倒れていたことに気づくのが遅れた」と供述。公判では「死亡した男性が事故を起こしたことの予見性がクルマ側にあるかどうか」、「路上に人が倒れていることを視界の悪い夜間に認識し、これを回避できたかどうか」で争われることになった。

11月29日に開かれた判決公判で、大分地裁の宮本孝文裁判官は「被告は当時、60km/hで走行し、ヘッドライトは下向きだった」と認定した上で、「この状況において、クルマが停止できる距離内で倒れている被害者を被告が発見・認識することができたかどうかには合理的疑いがある」と判断。被告がオーディオ操作などの脇見をせず、前方注視の義務を果たしていたとしても被害者との衝突は回避できない可能性が高かったと判断し、業務上過失致死の部分に関しては無罪とした。

しかし、道交法違反の部分については、「被害者の救護義務を怠って現場から逃走したことは明らか」として、この部分については責任を追及。懲役1年(執行猶予2年)の有罪判決を命じている。

《石田真一》

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