信号無視を予見できない…速度超過側に無罪判決

自動車 社会 社会

2003年2月、大阪府門真市内で信号無視の状態で交差点に進入してきた乗用車と、交差道路を速度超過状態で進行していた乗用車が衝突。信号無視側の2人を死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた35歳の男性に対する判決公判が26日、大阪地裁で行われた。裁判所は無罪を言い渡している。

問題の事故は2003年2月16日未明に発生した。門真市桑才新町の府道で33歳(当時)の男性の運転するクルマが赤信号を無視して交差点に進入し、青信号に従って府道を走行していた豊中市内に住む31歳(当時)男性が運転するクルマと衝突。双方のクルマは大破し、赤信号を無視した側のクルマに乗っていた運転者を含む2人が死亡した。

当初は「信号無視側の責任が重い」として不起訴となったが、検察は2005年1月に「複雑な道路形状から死亡した運転者は信号を見落とした可能性もあり、速度超過進行の責任もある」と判断し、青信号遵守側のクルマを運転していた男性を起訴。以後、異例ともいえる公判が続いていた。

26日に行われた判決公判で、大阪地裁の水島和男裁判官は青信号遵守側のクルマが80km/h(30km/h超過)、赤信号無視側のクルマが31km/hで交差点内に進入したと判断。「青信号遵守側が制限速度で走行し、急制動を掛けたとしても事故を回避できなかった可能性が高い」と断定した。

その上で「被告には前方や左右を確認する一般的な注意義務はあるが、相手側が信号無視をして進入してくることを予見できた具体的な状況がない」として、被告に対して無罪を言い渡している。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース