2002年、京都府綾部市内でストーカー対象としていた女性の子供に危害を加える目的で、登校中の児童の列にクルマを突っ込ませて12人を死傷させ、傷害致死などの罪に問われた57歳の男に対する控訴審判決公判が25日、大阪高裁で開かれた。裁判所は一審の懲役18年判決を支持。被告の控訴を棄却した。
問題の事件は2002年1月21日に発生した。集団登校するために綾部市神宮寺町加迫付近の市道を歩いていた小学生の列に乗用車が突っ込み、1人が死亡、11人が重軽傷を負った。クルマを運転していた男は「運転ミス」を主張していたが、この男がストーカー対象としていた女性の子供が被害者に含まれていたことが後に判明。警察ではストーカー行為の延長上に事故があると判断し、傷害致死傷容疑で送検。検察も同罪で起訴していた。
京都地裁舞鶴支部は2004年11月、「事故は偶発的に発生したものではなく、故意によって起こされた。ストーカー対象の女性に対する“意趣返し”の一環であり、自己中心的かつ無差別で冷酷な凶行だった」として、懲役18年の実刑判決を言い渡した。被告の男は公判中に「検察はしつこい、検察こそがストーカーだ」などの不規則発言を繰り返し、一審判決の際にも大騒ぎして退廷を命じられるほどだった。
25日に行われた控訴審判決公判で、大阪高裁の片岡博裁判長は、被告の「腰の痙攣が原因で急ハンドルを切ってしまったことが原因であり、ブレーキも掛けた。故意ではない」という主張に対し、「故意でなかったとする被告の供述は信用できない」とこれを退けた。その上で「様々な状況証拠からも計画的な犯行だったことは明確で、無関係な子供を巻き込んだ罪は重い」として被告の控訴を棄却。一審の京都地裁舞鶴支部判決を支持した。