泥酔運転の民事責任は一緒に酒を飲んだ同僚にも及ぶ

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2001年12月、埼玉県坂戸市で泥酔状態の男が運転するクルマにはねられて死亡した女性の遺族が、この男と、事故当日に男がクルマを運転することを承知で一緒に飲酒した職場の同僚などに総額約8100万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決が7月28日、東京地裁で行われた。裁判所は男と同僚、元の勤務先に約5800万円の支払いを命じた。

問題の事故は2001年12月29日未明に発生している。坂戸市内の市道を帰宅のために歩いていた大学生3人に対して乗用車が衝突。2人が即死し、1人が軽傷を負った。クルマを運転していた32歳(当時)の男は、前日の午後7時30分ごろから約6時間30分に渡って酒を飲み続けたこともあって泥酔状態。さらには事故当時は居眠りをしていた。

男は危険運転致死傷罪で懲役7年の実刑判決を受け、現在服役中だが、この事故で死亡した20歳の女性の両親が「飲酒を行った後にクルマで帰ることを認識しながら、それを止めなかった」として、クルマを運転していた男の同僚(一緒に飲酒)と、当時勤務していた会社(社有車を事故時に使用)、そして恒常的な飲酒運転を把握していた男の妻に対して、連帯して約8100万円の賠償を行うように請求する民事訴訟を起こした。

これまでの弁論で、同僚は「クルマ運転していた男性の方が年齢が上であり、意見できなかった」と主張してきたが、7月28日の判決で東京地裁の佐久間邦夫裁判長は「男と長時間に渡って一緒に酒を飲み、男の様子から正常に運転できないことを認識できた」、「男がクルマを運転して帰宅することも予見可能で、飲酒運転を制止すべき注意義務があったにも関わらず、これを怠った」判断。責任があることを認めた。しかし、妻には制止の責任を認めず、結局は運転していた男、同僚、クルマを所有する会社に対して約5800万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

《石田真一》

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