フォード・モーター・カンパニーは、4300万ドルを投資し、フォードの歴史あるディアボーン自動車性能試験場を閉鎖し、世界レベルの「ディアボーン開発センター」(DDC)を開設すると発表した。
新設するDDCはフォード北米事業の包括的な再建計画「Way Forwardプラン」の中核をなすもののひとつで、商品開発工程を効率化し、新型車導入までの期間を1年以上短縮する試みの一環。
フォードのジ・アメリカズ(北米事業)担当のマーク・フィールズ社長は「自動車市場では、新型車がしばしばマーケットを制している。我々は、再建計画『Way Forwardプラン』の一環として、クロスオーバー、トラック、SUVの新型車のラインナップを揃えていく計画で、新しいDDCは、新商品を市場により早く導入するためのひとつのツールとなる」とコメントしている。
冠水路やわだちのついた道路、急カーブ走行や高速走行のコースを備えたDDCのテスト設備において、年間100万マイル以上(約160万km)開発車両の走行実験を行う。新しいテスト設備には、43エーカー(約17万4000km)のドライビングダイナミクス・エリアと、12エーカー(約4万9000km)のアスファルト路のスキッドパッド、2.5マイル(約4km)のステアリング/ハンドリング・コース、4000フィート(約1.2km)の直線コースがあり、フォードのエンジニアたちは、ドライビング特性や、安全性能の検証等の車両開発・実験を行う。
DDCの「世界の道路(World Roads)」セクションでは、欧州の石畳路からカリフォルニア、ミシガンで見られる、極端な路面状態を再現しており、安全にプロトタイプを実際の道路環境でテストすることが可能。
DDCの開設で81年間の歴史を持つディアボーン自動車性能試験場は、閉鎖する。また、DDCの開設により、商品デザイン、エンジニアリングおよびテストセンターを繋ぐフォードのグローバルネットワークの活用が可能となった。ステアリング/ハンドリングのテストコースはベルギーとアリゾナにあるフォードのテストコースとほぼ同じなため、ヨーロッパとアメリカの両大陸のエンジニアたちは同じ環境下でクルマの評価ができる。
新しいテスト設備は、クオリティとセーフティ、とりわけ風切音、振動、パワートレインのパフォーマンスの向上に活用される。DDCは、最近開設したフォードの安全技術革新センターと衝突実験ビルに隣接している。両施設とも、すでに発表している先進自動車試験技術開発のための6500万ドル(約75億円)の投資の一環として建設された。