21日深夜、イギリス東部のケント州トンブリッジで、警備会社に保管されていた現金が強奪された。このうち2500万ポンド(50億円)はイングランド銀行の資金で、その他の銀行の資金もあわせると総額5000万ポンド(100億円)と英国史上最大の現金強奪事件となる。
事件は21日午後6時、警備会社の現金保管係のコリン・ディクソン氏が、仕事を終えて自宅に向かって日産『アルメーラ』を運転していたところから始まる。ディクソン氏は、自宅付近で青いサイレンをつけたボルボ車に乗った警官に呼び止められ、そのまま拉致されてしまう。彼らは強盗団の一味で、ボルボ車はパトカーに偽装したものだった。
その2時間後、ディクソン氏の妻子も自宅から拉致される。使われたのは運送会社で使用されていた赤いバン。一味はディクソン氏に対して「妻子の安全を守りたいなら協力しろ」と脅迫。ディクソン氏は、警備会社の現金の保管場所へ一味をつれていった。
一味が警備会社の金庫前に乗り付けたのは、ルノーの白い7.5トントラック。これに現金や金塊などを積み込んで一味は逃走した。一味は総勢6人で、警備会社の内情に詳しいものではないかとみられているが、今までのところ何の手かがりも得られていない。ケント州警察は、犯人逮捕につながる情報に対し200万ポンド(4億円)の報奨金を与える、と発表した。