パリでは毎週末に蚤の市が開催され名物となっている。目玉が飛び出るような値段の骨董品から、真贋さだかでないブランド品まで、何百という露天がずらりと軒を連ねる。レトロモビルは“自動車蚤の市”だ。
いまやメルセデスベンツやルノーといった大手メーカーがモーターショー並のブースを構え、ブランドアピールを繰り広げるレトロモビルだが、奥に進んでいけばまだまだ蚤の市としての一面も色濃く残っている。
ヘッドランプやメーターばかりを扱っているブースや、アンティークなミニカーがずらりと並ぶ店などはまだ序の口。秋葉原の電気街と見まがうばかりの電装部品屋から、もはやクルマとはまったく関係のない骨董品の店までが所狭しと並んでいる。どのブースでも皆が真剣な目つきで品物を手に取り、店主となにやら交渉している。年配の女性が自動車のジャンクパーツを探している光景などまず日本では見られないだろう。
なかなかお目にかかれない往年の名車を味わうのもいいが、古くなっても自分の手でメンテナンスしながら長く使っていくという、フランス流のモノとの付き合い方を垣間見て、少しばかりエコを考えてみるというのもレトロモビルの楽しみ方のひとつだ。