【ジャガー新型XK テクノロジーリポート】伝統のローフォルムと対人衝突安全性を両立した

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新しい『XKクーペ』の正確なボディ3サイズ(欧州仕様)は4791×1892×1322(mm)。これを現行モデル(同)と比べると全長は15mm長く、ドアミラーを含む全幅は65mm広く、全高は26mm高いという関係になる。

「ヘッドスペースが20mmのプラス」というように居住性の改善も狙って多少高さを増したものの、それでも飛び切りにスリークなプロポーションというのは“ジャガーのクーペ”の命でもあるもの。

そして今回、そんなジャガーらしさの実現に大きく貢献したのが「世界初」の電子制御テクノロジー。ジャガーでは“パイロテクニック・ディプロイアブル・ボンネット”と呼ぶ最新テクノロジーを採用したこのボンネット・フードこそが、新型XKのスタイリング実現に到る「影の主役」であると筆者には感じられた。

ある範囲の設定スピード内でボディ前端が万一歩行者と衝突した場合、エアバッグ同様のテクノロジーで瞬時にボンネット・フード後端を数cm持ち上げ、歩行者がエンジンルーム内の硬質部品に当たって負傷するのを防ぐ、というのがこのアイテムの目的。歩行者保護のスキームはすでに法制化に向かって動き出しており、フロントにエンジンを備える多くのニューモデルはその対応のためにエンジン上部とフードの間に従来よりも多くの“隙間”を採るという対策を採り始めているのが現状だ。

ところが、エンジンフードの低さを売り物とするスポーツモデルにとって、これは深刻な影響をもたらすことになる。かつてのような「フードをエンジン上部ギリギリに1mmでも低くデザインする」というやり方では、必要なクラッシャブルストロークを得ることができないからだ。

実際、新型XKのチーフデザイナーである前出イアン・カラム氏も「ポップアップ・フードなしにこのクルマのボンネットのラインは成立しなかった」と認めている。「ジャガーのスポーツカーらしい優雅なプロフィールを実現させるため、製品検討の初期の段階で我々デザインチームはこのアイデアを受け入れることを承諾した」という。

すなわち、もしもこの新しいテクノロジーの実用化が不可能であったならば……あるいは新型XKのエクステリアデザインは現在目の前にあるものとは異なっていたかも知れないわけだ。

「人間の瞬きの1/10以下の時間で作動をする」というこのメカは、ドライバーに必要な視界を確保する意味もあって「作動後は瞬時に降下をする」という設計。余談だが、こう考えてみるとポルシェ『911』や『ボクスター』のようにフロントにエンジンを持たないリア・エンジンやミッドシップのスポーツカーには、厳しさを増す前面衝突時への対応も含めて今、“時代の追い風が吹いている”といえることにもなりそうだ…。(つづく)

《河村康彦》

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