ダイムラークライスラーは5日、不振のメルセデス乗用車部門で、2005年末までに5000人が希望退職に応じたことを明らかにした。同部門では2005年10月から1年間で8500人の人員を削減する計画をたてていたが、すでにこの予定数の6割に達したことになる。
また、この人員削減計画自体が、2005年12月に同部門でさらに5500人、商用車部門で2000人が上乗せされており、全体では1万6000人の削減をめざすものとなっている。
ダイムラークライスラー・グループ全体でみれば、メルセデス乗用車部門の不振は目を覆うばかりだ。営業利益は2003年の31億ユーロが、2004年には16億ユーロに半減。さらに2005年決算は、メルセデスベンツのリコール、『スマート』の車種削減、リストラ費用の計上などで、営業利益が赤字となる公算が高い。何よりも大量リコールに象徴されるように、メルセデスベンツの品質への信頼が揺らぎつつあることも見逃せない。
その一方で、クライスラー部門は主力の米国市場での販売台数が前年比プラスとなり、マイナスとなったGMやフォードとは好対照だ。営業利益も、2003年に5億ユーロの赤字だったものの2004年には14億ユーロの黒字となり、2005年決算でも同じレベルの黒字を維持する見通しだ。さらに2006年には10車種の新型車を投入し、GMやフォード、好調の日本メーカーを迎え撃つ。
1月1日に、ダイムラークライスラーの会長に就任したディーター・ツェッチェ氏は、このクライスラー部門を建て直した功績を認められ、ユアゲン・シュレンプ前会長の後継者に指名された。もちろん人員削減だけでメルセデス乗用車部門が建て直せるはずはなく、ツェッチェ会長が練り上げる再生プランに、大きな注目が集まっている。