昨年8月、職務質問のために接近した警察官を故意にクルマではねて殺害したとして、殺人や覚せい剤取締法違反の罪に問われた45歳の男に対する判決公判が25日、大阪地裁で開かれた。裁判所は懲役18年の判決を命じている。
問題の事件は2004年8月3日の午前3時20分に発生している。大阪市北区堂島1丁目付近で信号無視を行ったクルマを大阪府警・天満署の50歳の巡査長が発見し、職務質問するために近づこうとしたが、クルマは進路を塞いだパトカーに体当たりを繰り返した。
これを制止しようとクルマに近づいた巡査長は転倒。直後クルマにはねられ、さらには下敷きになった。運転していた44歳(当時)の男は執拗に前後動を繰り返し、巡査長は約3時間30分後に死亡した。運転していた男は現場から徒歩で逃走したが、事件当日の午後に逮捕されている。
25日に行われた判決公判で、大阪地裁の水島和男裁判長は殺人罪の成立は認めたものの、「被告は被害者を意図的に車体の下に巻き込んだわけではない」として、「確定的殺意があった」との検察側主張を退け、「未必の故意だった」と認定した。だが、「ひるむことなく体ひとつで立ち向かった警察官を死亡させた残虐な犯行」と指摘し、被告に対して懲役18年の実刑を命じている。