恐喝失敗で殺人暴走、懲役20年の実刑判決

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恐喝に失敗したことに腹を立て、スーパーマーケットの男性社員2人をクルマで故意にはねて死傷させたとして、殺人と殺人未遂、恐喝未遂罪などに問われた38歳の男に対する判決公判が7月28日、さいたま地裁で開かれた。裁判所は被告の男に対し、懲役20年の実刑を言い渡している。

問題の事件は昨年10月2日の午後10時20分ごろに発生した。埼玉県川越市脇田新田付近の市道で、近くのスーパーマーケットに勤務する男性社員2人が店に戻るために歩いていたところ、後方から約60km/hの速度で走ってきた乗用車に次々とはねられた。この事故で48歳の男性店員が頭を強く打って間もなく死亡。店長を務める51歳の男性も足に軽傷を負った。

2人の勤務する店では9月27日に高齢女性による万引き事件が発生。この女性の孫を名乗る男が「取り押さえた際に祖母がケガをした。治療費と入院費用を払え」と要求し、この2人が男との交渉に当たっていた。

交渉は事故当日まで6回行われたが、2人は男の要求を頑なに拒否。事故はこの直後に発生したことから、警察ではこの男が関与した可能性があるとして捜査を開始。男が所有するクルマに人身事故の痕跡を確認したことから、殺人や殺人未遂、恐喝の容疑で逮捕。検察は同罪で起訴していた。

これまでの公判で被告側は、男性店員への殺意を認めたものの、店長への殺意については否認していた。だが、7月28日に行われた判決公判でさいたま地裁の福崎伸一郎裁判長は「2人は一緒に行動しており、店長に対しても未必の殺意は生じていたと考えられる」として、被告側の主張を退けた。また、恐喝未遂から殺害に至るまでの行為については「犯行は反社会的で悪質極まりない」と指摘。被告に対して懲役20年の実刑を言い渡した。

《石田真一》

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