神奈川県横浜市内の市道トンネルで、トラックに積載されていたパワーショベルが高さ制限ゲートに接触し、これがトンネル内で落下して歩行者が死亡した。
この事故について、神奈川県警は25日、この市道を管理する横浜市戸塚土木事務所の男性職員を業務上過失致死容疑で書類送検した。
神奈川県警・交通捜査課によると、問題の事故は2004年11月30日に発生している。
同日の午前7時55分ごろ、横浜市戸塚区戸塚町付近の国道1号線(通称:横浜新道)下を通る市道のトンネルを、31歳の男が運転する普通トラックが通過しようとしたところ、荷台に積んであった小型パワーショベルが、トンネル入口付近に設置された高さ制限を示す金属製のゲートへ接触した。
だが、男は接触に気がつくことなく、そのままトラックを進行させたため、パワーショベルは荷台から押し出されるように落下。トンネル内の歩道を歩いていた65歳の男性を真上から直撃した。
男性はパワーショベルの下敷きとなって間もなく死亡。警察ではトラックを運転していた男を業務上過失致死容疑で逮捕している。
事故現場となったトンネルでは2003年夏ごろから高さ制限ゲートへの接触事故が相次いでいた。通常の高さ制限ゲートはトンネル入口と平行して設置されているが、事故現場は手前でカーブしてからトンネルに入る道路形状となっており、ゲートはトンネル入口に対して斜めに設置されていた。
実はこれが構造的な欠陥となっており、ゲートに接触したクルマがトンネル壁面の歩道側に傾斜してまうという特性を持っていた。近隣の住民はこの危険性をかねてから指摘しており、トンネルを管理する横浜市戸塚土木事務所に対して早期の是正を求めていた。
しかし、担当の男性職員は「接触事故はドライバーの無謀運転が起因であり、緊急性はない」と判断。工事を先延ばしにしてきた。
この間にも数件の同様事故が発生していることや、上司から工事の実施を指示されていたにも関わらず、これを無視していたことを警察では重視。「職員が改修工事を独断で先延ばししたことが事故につながった」として、この職員にも業務上過失致死容疑を適用。25日までに同容疑で書類送検した。
この職員に対しては、これまでにも任意で数回の事情聴取が行われているが、この際には「事故は無謀運転が原因で、道路管理とは関係がない」などと主張。容疑を全面的に否認しているという。