今年3月、栃木県矢板市内の国道で、走行中の大型ダンプトラックから重さ580kgのアスファルト塊が落下。これを避けようとした後続の大型トレーラーが路外に逸脱、石垣に衝突・炎上して34歳の男性が死亡した。
この事故について、検察庁・宇都宮地検は、業務上過失致死容疑で逮捕されていたダンプトラックの運転手を2日までに処分保留で釈放していたことを明らかにした。捜査期間内に起訴する証拠が集まらなかったことが原因とされる。
検察庁・宇都宮地検によると、問題の事故は3月1日深夜に発生している。
同日の午後11時45分ごろ、矢板市中付近の国道4号線を走行していた、34歳男性の運転する大型トレーラーが突然車線を逸脱。対向してきた大型トラックと接触した後、道路右側の石垣に激突・炎上した。
運転していた男性は脱出することが出来ず、全焼後の運転席部分から焼死体で発見されている。
トレーラーの下からは巨大なアスファルト塊(縦80cm、横110cm、厚さ40cm、重量580kg)が発見されているが、死亡した男性は事故の直前、後続を走行していた同僚に向かって無線を使って「危ない」と警告していたことが明らかになった。
このことから男性が路上に落ちていたアスファルト塊を見つけ、これを避けようと急ハンドルを切ったことが車線逸脱の原因となった可能性が高いと判断した。
警察ではこのアスファルト塊が現場近くの電話線地中化工事現場から排出されたものであると断定。事故当時にこれを輸送していたダンプトラックの運転手として61歳の男を特定した。
そしてこの男が輸送効率を向上することを目的に、カバーで覆うなど道路交通法で定められた積荷の転落防止措置を取っていなかったことが判明。男を業務上過失致死容疑で逮捕した。
検察では男を起訴するための証拠集めを行っていたが、定められた拘留期間中に情報が集められず、新たな証拠の収集にはまだかなりの時間を要す見通しとなったため、処分保留のまま男の釈放を決めた。
なお、この事件では警察が男を逮捕するまでにも通常より長い期間を要していた。
今後は男や、工事関係者などから任意での聴取を行い、最終的な処分を決定したいとしている。