栃木県警は13日、工事現場から排出されたアスファルト塊を路上に落とし、これを避けようとした後続のトレーラーが対向車線に逸脱、1人が焼死する事故を引き起こしたとして、アスファルト塊を輸送していた61歳の男を業務上過失致死容疑で逮捕した。
栃木県警・矢板署によると、問題の事故が起きたのは3月1日の午後11時45分ごろ。矢板市中付近の国道4号線で、34歳の男性が運転する大型トレーラーが車線を逸脱し、対向してきた大型トラックと接触した後、道路右側の石垣に激突した。
この事故でトレーラーは運転席部分が大破するとともに、車体も炎上。運転していた男性は脱出することが出来ず、全焼後の運転席部分から焼死体で発見されている。
トレーラーの下からは巨大なアスファルト塊(縦80cm、横110cm、厚さ40cm、重量580kg)が発見されており、警察では男性が路上に落ちていたアスファルト塊を運転していた男性が発見、これを避けようと急ハンドルを切ったことが車線逸脱の原因となった可能性が高いと判断した。
また、これを裏付けるように、死亡した男性は後続を走っていた同僚に対して無線で「危ない」と叫ぶような声で警告、「その直後に不自然な挙動を取って対向車線側に向かっていた」と同僚が証言した。
警察ではこのアスファルト塊がどこから運ばれてきたものなのかを分析。その厚さや構造から国道用として使われていたアスファルトであることを突き止め、最終的には現場近くの電話線地中化工事現場から排出されたものであると断定した。
また、事故当時にこれを輸送していたダンプトラックの運転手として61歳の男を特定し、任意で事情を聞いていた。
そして、この男が輸送効率を向上することを目的に、カバーで覆うなど道路交通法で定められた積荷の転落防止措置を取っていなかったことが判明。さらには荷台上部へ内側に向けて設置する「あおり」という積荷落下壁も装着していなかった。
警察ではこれらの点に過失が生じていたと断定し、男を業務上過失致死容疑で逮捕した。