【ボルボ ウインター・チャレンジリポート】その3 秀逸なトラクションを実感する最新AWDシステム

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【ボルボ ウインター・チャレンジリポート】その3 秀逸なトラクションを実感する最新AWDシステム
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いよいよ待ちに待った“V8”に乗り込む。外観はロワーグリルにクロム状の縁取りが加えられた程度と従来型との違いはないに等しい。「代わり映えがしなくてちょっと寂しい」という人もいるかも知れないが、そんなさりげなさがボルボらしいともいえる。もちろん、マイナス2桁の環境下でも始動は一発。そして、火が入ると同時に周囲に響く8気筒サウンドが、これまでの『XC90』にはないプレミアム感をアピールすることになる。

走り出すとさすがにフィーリングはスムーズそのもの。ATのプログラムもまるで違和感なく、まずはどのようなシーンでも「3000rpmも回せば事足りる」といった印象だ。アイドリング時にやや排気音がこもり気味な点は惜しいが、それを除くと静粛性の高さも特筆すべき水準。「さすがヤマハ製のエンジンはなかなかだナ」といったらそれはボルボを褒めているのかそうではないのか!?

じつは当地ではまだスパイクタイヤの装着が認められているので、氷結路での走りやすさという点では日本でのそれを凌いでいたりもする。が、それにしても例のクローズド・コース内でこのクルマのハンドリング感覚が期待以上に自在だったのは、後輪へのエンジントルク伝達の俊敏さが売り物という「世界初の」“インスタント・トラクション”付きAWDシステムの採用とともに、8気筒化に伴うフロントヘビー傾向が小さく抑えられた点も大きく影響をしていそう。じつはこの4.4リッター8気筒モデルの重量、ツインターボ付き2.9リッターの6気筒モデルと同等値が報告されているのである。

ところで、すでに述べたようにこの貴重なテスト・フィールドには『V50』の“T-5 AWD”も持ち込まれていたので、こちらの印象にも触れておこう。XC90から乗り換えるとより以上の扱いやすさを感じるのは、じつはそのボディサイズの違いの影響が大きい。何しろ全長は30cm近く短く、全幅も10cm以上狭いのだ。そのぶん、相対的に道幅に対して余裕が生まれる。異なるカテゴリーの2モデルを比べるのは意味がないとわかっていても、極めて滑りやすい同じ路面を走るとなると「小さいぶんだけこちらが扱いやすい」というのは紛れもない事実ではある。低ミュー路ほど“小ささ”が効くというのは本当だ。

それにしても、電子制御による“ハルデックス・クラッチ”を採用して以降、ボルボの4WDモデルは低ミュー条件下でのハンドリング性能が著しく向上した。以前のカップリング式だとアクセルペダルを踏むとだらしなくアンダーステアが現われてしまったような場面でも、最新モデルだと駆動力をかけることで積極的にコーナリングフォームを作り出して行けるのだ。

このところのボルボ車はそのスタイリングからしてスポーティな雰囲気を強めているが、“ハルデックス・クラッチ”が生み出す運動性能のキャラクターはまさにそんな最新モデルにふさわしいもの。そう、V50のAWDシステムは単なる「生活4駆用」のそれを超えたポテンシャルの持ち主……そんな思いを、遥か北極圏の地で抱くことになった。

《河村康彦》

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