大阪府警は4日、建築基準法に基づき一般道路とみなされた自宅前の私道に金網フェンスを張りめぐらし、人やクルマの通行を著しく妨げたとして、堺市内に在住するいずれも66歳の男女を往来妨害容疑で逮捕した。
2人は「自分たちの土地であり、逮捕される理由はない」と容疑を強固に否認している。
大阪府警・堺南署によると、往来妨害容疑で逮捕されたのは、堺市上付近に在住する夫婦で、いずれも66歳男女。
この2人は建築基準法で一般に供される道路と規定された私道を「自分たちのもの」と主張。2002年ごろから金網や有刺鉄線を周囲に張りめぐらし、人やクルマの通行を著しく妨害した疑いがもたれている。
問題の私道は、宅地造成時に既存の道路と宅地を連絡させる目的で設置。登記簿の上では逮捕された男女を含む周辺住民の土地とされていたものの、道路が設置された経緯やその目的から、建築基準法の上では一般の道路として提供されることになっていた。
ところが2人はこれを認めず、金網や有刺鉄線を境界付近に設置。看板を立てて私有地であることを主張し、通行人に妨害を加え始めた。
住民らは裁判所にフェンスの撤去を求める仮処分を申請。これが認められた結果、これまでに職権で2回の撤去が行われている。
だが、2人は撤去が行われると、それまでよりも頑丈なものに作り変えて再設置。現有するものはコンクリート製の強固な土台を持っていた。
2人は通行人に対して「通るな」と相変わらずの言動を繰り返していたが、業を煮やした住民が通過を強行しようとした際、男は包丁を片手にこの住民を追い掛け回す事態にも発展した。この際は脅迫未遂容疑で逮捕されている。
警察では住民の訴えも続いたことから、これまで慎重に検討を重ねてきたが、フェンスの存在が交通を著しく阻害しているのは間違いないと判断。2人を往来妨害容疑で逮捕することを決めた。フェンスについても撤去に向けた準備を進めていく。
取り調べに対して2人は容疑を全面的に否定しているという。