泥酔状態でクルマを運転し、クルマ4台と次々に衝突する事故を起こし、5人を負傷させたとして危険運転致傷罪に問われた54歳の女に対する初公判が1日、宇都宮地裁足利支部で開かれた。
公判は即日で結審。検察側は懲役2年を裁判所に求めている。
問題の事故は2004年12月25日に発生している。同日の午後4時55分ごろ、足利市朝倉町付近の市道で乗用車が暴走し、路上に停車していたクルマに衝突した。クルマはいったんその場に停車したが、勢いよくバックしたことで別のクルマに後部から突っ込み、さらに前進して2台と次々に衝突した。
この事故では合計4台のクルマが被害を受け、運転者や同乗者など5人が軽傷を負い、病院に収容されている。
警察では暴走したクルマを運転していた54歳の女を道路交通法違反(酒酔い運転)の現行犯で逮捕している。女は一人では直立していられないほどの泥酔状態だった。
後の取り調べで、この女は事故直前まで現場近くの飲食店でワインをボトル1本飲んだことを供述。クルマに乗り込んだときには周囲の状態がわからないほどで、実際に2台目までの衝突については「自分でも何が起きたかわからなかった」と話しており、3台目と4台目の衝突はパニックを起こした上で暴走した最中に起きたこともわかっている。
警察は業務上過失傷害と道交法違反で送検したが、検察側では「単に泥酔していただけではなく、周囲の状況の把握が出来ない中でクルマの運転をしたことは悪質」として、業務上過失の部分を危険運転致傷罪に切り替えて起訴していた。
1日に宇都宮地裁足利支部で開かれた初公判で、被告の女は「間違いありません」と起訴事実を全面的に認めている。
続いて行われた冒頭陳述では、事故当時に被告が泥酔状態で、約6秒間しか直立できなかったことなどが指摘された。
被告側は争う姿勢を見せておらず、公判は即日で結審。検察側は裁判所に対して懲役2年の実刑を求めている。