「全ての商品にICタグがついている世界の住宅として研究開発した家」と夢の住宅PAPI(パピ)のCEである東京大学の坂村健教授。教授は汎用OSであるTRONプロジェクトのリーダーでもあり、PAPIの様々なコンピュータはTRONでつながっている。
ICタグのついた冷蔵庫の中の商品はモニタでチェックでき、収納は無線ICタグがついたコンテナボックスに入れて行う。このボックスは豊田自動織機の開発した工場用の物流管理システムによって、壁面などのわずかな空間へと運ばれて収納される。ICタグで管理されているため、必要なものがいつでも取り出せるわけだ。
PAPIはユビキタスコンピューティング技術を駆使して作られている。住民はユビキタスコミュニケータというPDA風の端末(リモコン)を持ち、テレビの前に行けばテレビのリモコンとして、電灯の前に行けば明かりのリモコンとして、簡単に操作できる。
例えば部屋の天井にある赤外線発光装置から部屋のユビキタスIDをユビキタスコミュニケータへ送り、画面を最適化するわけだ。住民が何をしたがっているかを家が判断してくれるのだ。
トヨタホームの清水哲太会長は「様々な技術を統合して使えるようにするのが、住宅メーカーとしての使命だ」という。自分のような年寄りでも難しくないリモコンが欲しかった、とも。全ての規格が統一されているPAPIはエネルギー、空調、照明などが自動制御される。
これまでメーカーによりバラバラであった規格が統一されることは喜ばしいが、製品選びの自由度が減る可能性は考えられるところ。家の中も全てトヨタマークの時代はちょっと嫌なので、様々なメーカーの参加を期待したいところだ。
この夢の住宅、いくらになるのかが気になるところだが、坂村教授は通常の高級住宅よりちょっと高い程度、坪単価80万円ほどにできたらいいという。実際、PAPIはいわゆる高級住宅という雰囲気ではない。一つ一つの素材は、高級というよりケナフ材を使うなど、環境に優しいことに重点が置かれている。
リッチさほどほど、機能性バツグンというのは確かにトヨタ車に通じる。
見学受付はトヨタホームのwebで1月12日から。