検察庁は14日、重傷人身事故を起こしたとして裁判所から罰金15万円の略式命令を受けながら、これを無視して罰金を支払おうとしなかった男を業務上過失傷害容疑で逮捕した。
男は事故を起こした段階では逮捕の必要がないと警察に判断されたが、その後の態度が悪かったとして検察が逮捕に踏みきるのは珍しい。
検察庁・金沢区検によると、業務上過失傷害容疑で逮捕されたのは、石川県金沢市内に在住する53歳の男。
この男は2003年10月21日午前、金沢市内でトラックを運転中に横断歩道を渡っていた自転車と衝突。運転していた人物に骨折など全治2カ月あまりの重傷を負わせた。
警察では業務上過失傷害容疑で男から事情を聞いたが、当時は容疑を全面的に認め、取り調べに対しても協力的であったことから、逮捕の必要は無いと判断。
その後、同区検が業務上過失傷害罪で男を略式起訴。金沢簡裁が罰金15万円の略式命令を昨年11月に命じていた。
だが、男は罰金の納付を行おうとはせず、再三に渡る督促も無視した。今年8月には2度目の略式命令が出たがこれも無視したため、検察側は「悪質だ」と判断。同日までに男を逮捕し、略式起訴した。
金沢簡裁は即日で3度目となる略式命令を出し、罰金15万円の支払いを命じた。男は逮捕されたことで観念したのか、すぐに罰金を納付したという。
警察が「逮捕の必要なし」と判断した容疑者を、検察側が「必要あり」として逮捕するケースは珍しいが、検察では「今回のケースでは罰金を命じられた後に態度を一変させており、2度の無視は悪質と認識した」と説明している。