被害者を30m引きずった男に懲役12年の実刑命じる

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酒に酔ってクルマを運転して男性をはね、被害者を下敷きにしたまま約27mを走行して殺害したとして、殺人罪に問われた60歳の男に対する判決公判が18日、東京地裁で開かれた。裁判所は懲役12年の実刑判決を言い渡した。

問題の事件は2003年5月26日に発生している。同日の午前9時ごろ、目黒区駒場1丁目付近の区道で、79歳の男性が血まみれの状態で倒れているのを通行人が発見した。男性は近くの病院に収容されたが、外傷性ショックなどが原因で死亡している。

事故現場の路面には、約27mに渡って被害者のものと思われる血痕が残されていた。血痕は蛇行している箇所もあり、警察では男性をはねたクルマが、底部に被害者を挟み込んだまま走行を続けた結果として生じたものと判断。悪質な死亡ひき逃げ事件として捜査を続けていた。

その結果、同年6月には58歳の男を業務上過失致死と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕したが、男は取り調べの過程で「飲酒運転の発覚を恐れて逃げた」と供述していた。

警察が路上に残された血痕についても追及したところ、男は「男性が底部にいたことも確認しており、生きていることもわかっていた」と供述。一度はクルマを降りて、男性に声を掛けていたことも明らかにした。

しかし、男は事件発覚を恐れ、男性を底部に挟み込んだままの状態で逃走したという。

警察では「過失ではなく、未必の殺意が生じていた」として、容疑を殺人に切り替えて送検。検察もこれを支持して殺人罪で起訴していた。

18日に行われた判決公判で、東京地裁の青柳勤裁判長は、「被告は一旦クルマを停止させ、被害男性の声を聞いて生存を認識しているにも関わらず、再発進した」と、被告に未必の殺意が生じていたことを認定した。

その上で「被告は飲酒運転の発覚を恐れ、逃げたいという一心で被害者のかすかな生への望みを踏みにじった。これは生命を顧みない残忍、非情な犯行だ」と強く指摘。懲役12年の実刑判決を言い渡している。
《石田真一》

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