神戸の交通トラブル殺人、元組長に懲役20年を命じる

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2002年3月、路上駐車を巡る交通トラブルから当時27歳の男性が暴力団員に拉致監禁され、暴行を受けて死亡した事件で、この男性の殺害を命じた元暴力団組長など、7人に対する判決公判が5日、神戸地裁で開かれた。

裁判所は元組長にも未必の殺意があったことを認定し、懲役20年の実刑を命じている。

問題の事件は2002年3月4日に発生している。兵庫県神戸市西区内で、路上駐車を巡って暴力団組長とトラブルになった27歳の男性が、この組長の命令に従って現場に駆けつけた配下の組員に拉致監禁され、執拗な暴行を受けた結果死亡。翌5日に遺体で発見された。

男性からの通報を受けて駆けつけた兵庫県警・神戸西署員が通報者の男性が拉致監禁され、警官の到着時には姿を消していたことに気づかず、暴力団関係者に対しての聴取や周辺捜索を行わないまま引き上げるなど警察側の不手際も指摘され、これが暴力団員による暴行を加速させる一因になったとの指摘も当時なされた。

5日に行われた判決公判で、神戸地裁の笹野明義裁判長は、元組長に「確定的な殺意は認められないが、未必的な殺意はあった」と認定した。

その上で、「駐車の方法を巡って口論となり、八つ当たり的に組員を現場に呼び寄せて監禁し、暴行を加えたのは明らか。動機は極めて短絡的で自己中心的。極めて多数回に渡り、強度の暴行を加えている責任は重い」として、元組長に懲役20年の実刑を命じた。

また、元組長の指示を受け実際の暴行を繰り返した5人の元組員に対しては「暴力団内部の規範を優先した行動に対しては酌量の余地がまったくない」として、それぞれに懲役14−10年の実刑を命じた。

そして、事件発生当時に元組長と一緒にいた38歳の女については「暴行の現場にはいなかったが、被告らの行為を止めておらず、傷害致死の範囲で責任を負う」として、懲役3年(執行猶予4年)の有罪判決を言い渡した。

今回の事件では警察の不手際も明らかになっており、一部の被告が「被害者が死亡した結果は警察官にも責任の一端がある」などと主張していたが、これについて裁判長は「通報者の所在確認を怠るなど杜撰な面も見受けられるが、それが被告らの責任に影響するとは思えない」として、この主張を退けている。

《石田真一》

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