事故はリコール対象…警察が異例の再捜査

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栃木県警は1日、今年5月に栃木県で発生していた大型トラックと乗用車の衝突事故について、業務上過失傷害容疑で書類送検されたトラック運転手からの申し入れを受ける形で再捜査を始めた。

事故を起こしたトラックが三菱ふそう製で、今年4月にリコール対象となった後輪ハブが事故原因である可能性が高いためとみられる。

栃木県警・鹿沼署によると、問題の事故は今年5月13日の午後0時35分ごろに発生している。粟野町内の県道を走行していた60歳男性が運転する大型トラックが、センターライン寄りに走行してきた対向車に気づいて減速しようとブレーキを掛けたところ、突然ハンドルが右に切られ、このトラックの方が対向車線側に逸脱。

順走してきた70歳男性の運転する乗用車と正面衝突した。この事故で乗用車の男性が右足の骨を折る重傷を負い、トラックを運転していた男性は業務上過失容疑で検挙・送検された。

男性はブレーキの効き方に疑問を抱き、自動車整備工場に依頼して車両を点検したところ、左後輪のハブが折れ、潤滑剤が周囲に飛び散ってブレーキが効かない状態となっていた。

問題のトラックは三菱ふそう製で、該当のハブは今年4月15日に同社がリコール対象として発表していたものだった。男性の元にもリコールを行う旨の連絡が届いていたが、販売店からの連絡を待ってほしいという内容の一文が追記されており、男性はこれに従って販売店からの連絡を待っていたが、その間に事故が起きてしまった。

衝突によってハブが割れたとは考えにくく、事故はブレーキの片効きによる可能性が高くなったため、男性は警察に対して「事故は運転操作ミスではなく、車体の欠陥による可能性が高い」として、事故原因の再捜査を申し入れた。

通常、このような申し入れを受けることはないが、事故を起こしたトラックがリコール対象であったこと、ハブが実際に破壊していることなどから、改めて捜査を行うことになった。

この背景には「三菱自動車製のクルマに関する事故が発生した場合、それがリコール対象だった場合には、特に精査するように」との内示を警察庁が出したからとも言われており、今後の成り行きが注目される。

《石田真一》

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