経済産業省の江澤正名氏に引き続いて、ボッシュ オートモーティブ システムの伊藤悟氏によるディーゼル・エンジンの低公害への取り組みや、最新のディーゼル・デバイス、次世代技術の話を聞いていると、ますますわが国はディーゼル車に対して早急に検討を始める必要があると思える。
まず燃料噴射系では一躍、排出ガスのクリーン化技術を前へ進めたコモンレール・システムの進化がある。ピエゾ素子を使ったインジェクターでは1800バールもの噴射が行なえ、その結果もたらされる排ガス改善効果は15〜20%にも高まったという。そして次世代においては2200バールもの噴射を行なうものに取り組んでおり、パイロット噴射/マルチ噴射に関してもよりきめ細やかなものを実現しようとしているほどだ。
もちろん排ガスの後処理に関してもさらに進化したDPF(ディーゼル・パーティキュレート・フィルター)を05年に量産予定としているほか、SCRと呼ばれる選択還元触媒用尿素噴射システムなどにも取り組んでいる。
伊藤氏もまた「日本における現状は厳しい」というが、それでも技術革新によって05年からわが国で施行される新長期規制(現時点において世界中でもっとも厳しい規制)にも対応していこうという思いがあるようだ。
これらの技術は日本国内で問題とされるPMやNOxに対しても、答えを出せるような可能性を強く持っている。それでいてCO2の排出量は少ないのだから……。最近のニュースで日本はCO2排出量の削減を海外で行なう方向を決めたが、その前に日本国内でディーゼル車を増やす取り組みを行なうべきでは? と思う。(つづく)