クルマの底部に女性を挟み逃走、懲役12年判決

自動車 社会 社会

無免許で盗難車を乗り回していた際に女性をはねる事故を起こし、被害者をクルマの底部に挟み込んだまま約1.6km走行を続けて死亡させたとして殺人などの罪に問われていた27歳の男に対する判決公判が7日、大阪地裁で開かれた。

裁判所は被告に対し、懲役12年の実刑判決を言い渡している。

問題の事故は昨年2月12日に発生している。同日の午後7時10分ごろ、大阪府茨木市真砂2丁目付近の市道で、横断歩道を歩いていた47歳の女性が右折してきたワゴン車にはねられた。ワゴン車はひいた女性を乗り越えて逃走しようとしたが、底部に女性が引っかかった。

ワゴン車は女性を挟み込んだまま加速。途中でジグザク運転などしながら約1.6km走行した。運転していたとみられる男は最終的にクルマを捨てて逃走。女性は通報によって駆けつけた救急隊員に救助され、すぐに近くの病院へ搬送されたが、事故から約5時間30分後に死亡している。

警察では悪質なひき逃げ事件として捜査を開始。事故を起こしたワゴン車は昨年1月に堺市内で盗まれたものとわかり、捜査は難航する気配を見せた。

事件が動いたのは昨年3月で、無免許運転をしていたとして大東市内で逮捕された26歳の男(当時)が「死亡ひき逃げ事故も起こした」と自供。これが茨木で起きたひき逃げ事件を指していることがわかり、警察は男を業務上過失致死と道路交通法違反(無免許、ひき逃げ)容疑で再逮捕している。

その後の調べで、男は「被害者が死ぬかもしれない」と思いながらも、現場から逃走する目的もあって引きずったまま走行していたと供述。検察では「未必の殺意に当たる」として、容疑を殺人罪に切り替えて起訴していた。

7日に行われた判決公判で、大阪地裁の杉田宗久裁判長は「自己の無免許運転や、盗難車を運転することの発覚を恐れて逃走を図った身勝手な犯行」と認定した。

その上で「底部に引っかかった女性が死亡する恐れが高いことを知りながら、約1.6kmに渡って運転を続けた」と指摘。この部分は過失ではなく、未必の故意に当たると認め、被告に対して懲役12年の実刑判決を言い渡した。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース