交通3悪のすべて…ひき逃げ男に実刑判決

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昨年11月、陸橋上を自転車で走っていた男性をクルマでひき逃げしたとして、危険運転致死と道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた21歳男に対する判決公判が30日、大阪地裁で開かれた。裁判所は男に対し、懲役7年の実刑を命じている。

問題の事故は昨年11月7日の午前0時ごろに発生している。大阪市北区中津6丁目付近の市道に頭から血を流した男性が倒れているのを通行人が発見。男性はすぐに病院へ収容されたが、脳挫傷などが原因で死亡していることが確認された。

この男性は市道の7m上を通る国道176号線の陸橋を自転車で走行中、後方から猛スピードで走ってきたクルマにはねられて国道の陸橋から転落。その際に全身を強打し、これが原因で死に至ったことが後の調べでわかった。

事件がニュースで大きく報じられたこともあり、事故翌日の11月8日に21歳の男が警察に出頭。男性をひいたクルマは車内に消火器が噴霧されるなど、指紋採取ができない状態で放置されていたことが自供によって明らかになっている。

警察では当初この男を業務上過失致死で調べていたが、事故に至った経緯があまりにも悪質であることから危険運転致死に容疑を切り替えて送検していた。

30日に開かれた判決公判で、大阪地裁の裁判官は被告が事故当時に100km/h近い猛スピードで走行し、制御不能の状態にあったことについて「被害者は陸橋上を30mも飛ばされ、さらに7m下まで転落している。このことから考えても制限速度を著しく超過していたことは認められる」と指摘。

さらには飲酒状態や無免許であったことにも踏み込み、「犯行は無免許、飲酒、著しい速度超過の、いわゆる交通3悪が原因で発生した」と認定した。

その上で「容疑車両の車内に消火器を噴霧し、捜査のかく乱を図るなどの隠蔽工作も実施しており、罪状は極めて卑怯で悪質。情状を酌量する余地はまったくない」とも指摘。被告の男に懲役7年の実刑を命じた。

《石田真一》

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