リンチ殺人の暴走族メンバー、リサイクルされることが決定

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暴走族から脱退しようとした少年を暴行し、殺害したとして傷害致死罪で起訴されたものの、水戸地裁の裁判官が「保護処分相当」と判断し、水戸家裁に移送した少年3人に対し、同家裁は9日、3人を中等少年院へ送致することを決めた。

重大な犯罪を起こした場合、16歳以下の少年であっても刑事罰に処するという改正少年法の目的が、法を司る裁判官によって退けられる格好となった。

この事件は昨年6月に茨城県三和町で発生している。暴走族を脱退したいと表明した当時15歳の少年が、同じグループの仲間9人から「脱退制裁」と呼ばれる暴行を数時間に渡って受け、約10時間30分後に収容先の病院で死亡したというもの。

暴行を加えた実行役の3人はいずれも同学年。このうち2人は事件当時15歳だったが、当初この事件を担当した水戸家裁下妻支部の裁判官は「刑事処分相当」と判断。検察官送致を経て、水戸地裁において傷害致死罪で起訴された。

この事件が起きたのと前後して、少年による重大犯罪が多発するようになっていた。このため、従来は16歳以上だった刑事罰適用年齢の下限を14歳以上に改めた改正少年法が2001年4月に施行。この事件は改正法の施行以来、16歳以下の少年が刑事罰で逆送・起訴された2例目となり、その扱いが注目されていた。

しかし、地裁の裁判官は「3人に刑事罰を与えるのは適当でない」と判断。家裁に差し戻した上で保護処分扱いにするべきという決定を行なった。

地裁が決定した家裁移送については検察側が不服を申し立てることは出来ない決まりになっており、刑事罰の適用が法で認められながらも、司法の現場がその適用を見送るという、遺族の立場で見るならば最悪の結果となった。

再移送された水戸家裁では、9日までにこの3人の中等少年院送致を決定している。ただし、事件を担当した石田浩二裁判官は「更正には長期間必要」と判断したのか、「2年を超える長期の収容が相当である」という厳しい処遇勧告を付けている。

悲惨な犯罪を繰り返させない、他人の命を奪った重大さを少年であっても認識させるという強い理念の下に改正された法であっても、それを運用する現場が適用を躊躇してしまうのであれば、実際には何の役にも立たない。

《石田真一》

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