スズキの鈴木修会長は28日、東京・有明の東京ビッグサイトで日印協会設立100周年の記念行事として、同社のインド合弁であるマルチ社の設立から今日に至るまでの経緯を中心に講演した。
マルチ社は1983年12月にインド政府との合弁で操業を開始、同国最大手メーカーとなっており、鈴木会長は同協会の副会長を務めている。
鈴木会長は、「国内では自動車の最後発メーカーだったものの、一番になれる国があるはず」として、折よく80年代初頭に国民車構想を打ち出していたインドへの進出を決めたと振り返った。
同社は今年4月に累計生産400万台を達成するまでになったが、事業運営をめぐって95年から98年にかけては政府と対立、昨年になってようやくスズキの子会社になった苦闘の歴史もある。
現在は世界の12社が進出、凌ぎを削る市場になっており、鈴木会長は「ここ数年で生き残る企業が5社程度に絞られる」と展望した。
そのうえで、マルチ社は今年7月に政府保有株の大半が放出されたことから、「ようやく真の民営企業になった」(鈴木会長)とし、「(部品・資材の)取引先企業の集約によるコスト低減など、民間企業としてのやり直し」に着手していると強調した。