遮断機の下りた踏切への進入は予測不可

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「当時15歳の少年が電車にはねられて死亡したのは警察官の執拗な追跡が原因だった」として、この少年の母親が愛知県警(愛知県)を相手に損害賠償を求めていた民事訴訟で、名古屋地裁は9月30日、原告の請求を棄却した。

判決によると問題の事件は1999年5月3日に発生している。ヘルメットを着用せず、2人乗りで走る原付バイクを愛知県警・東署のパトカーが発見。停止命令に従わなかったため、追跡を開始した。バイクはパトカーを振り切るようにして走り、すでに遮断機が下りていた名古屋鉄道瀬戸線の踏切に進入。直後に現場を通過した電車と衝突し、轢死している。

死亡した少年2人のうち、バイクの後部に乗っていたとされる15歳の少年の母親は「息子とその友人が遮断機の下りた踏切に進入しようとしたのは、執拗に追跡してくるパトカーから逃れるためだった」と主張し、死亡原因は警察官にあるとして愛知県を相手に総額4800万円あまりの民事訴訟を名古屋地裁に提訴した。

原告は「警官が追跡を断念していれば息子は死ななかった」と一貫して主張してきたが、県警側は「パトカーの警察官は早い段階で少年らを見失っており、執拗な逃走ではない。このため追跡と事故には何らの因果関係も無い」と主張。

さらには「そもそも停止命令に従っていれば事故は起きなかったはすだ」として、バイクを運転していた少年に問題があるとしてきた。

9月30日の判決で名古屋地裁の丸地明子裁判官は「追跡は適法であり、警察官は少年らが遮断機の下りた踏切へ進入することを予見することはできなかった」として、原告側の請求を棄却した。

《石田真一》

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